開校!ジャパ立ジャパリ校
けものフレンズ大好き
開校!ジャパ立ジャパリ校
かばんちゃんとの出会いから黒セルリアン討伐まで間、博士と助手も多くの経験をしました。
それからは積極的にヒトについて調べるようになりました。
今日もとしょかんに籠もり、資料を読んで(?)いたのですが……。
「どうしました博士?」
「助手、これを見るのです」
「ほう、これは……」
「これで我々もさらに賢くなるのです」
「これ以上賢くなったらもう無敵ですね」
「そのとおりです」
『ふふふふ……』
「――というわけで」
「なにがとういうわけでなのだ!?」
突然図書館に連れてこられたアライさんは、不満タラタラです。
「せっかく帰ってきたからかばんさんをアライさんの縄張りに招待しようと思ったのに、いきなり連れてくるなんてひどいのだ!」
「まーまーアライさん落ち着いてー」
「お前は呼んでないのです」
「いやーどうしてもアライさんが気になってー」
フェネックちゃんは特に気分を悪くした様子も無く答えます。
「わーい、何するの何するのー!?」
同じく連れてこられたカワウソちゃんは相変わらずでした。
「前途多難なのです」
「しかし、それでこそやる意味もあるのです」
博士と助手はよく分からない使命感に燃えます。
「頭の悪いお前達に言ってやるのです。我々はこれからがっこうを開いて先生になろうと思うのです」
「ヒトはそうやって賢くなり、教える先生もまた教えられて賢くなるのです」
「うぃんうぃんなのです」
「なのです」
「……? アライさんには話が分からないのだ」
『はぁ~』
博士と助手は揃ってため息を吐きました。
「つまりパークでも1,2を争うアホのお前達を賢くさせ、我々も賢くなろうというのです」
「いい加減分かれです。本当にアホですね」
「アライさんはアホじゃないのだ!」
「そーだそーだ!」
アライさんもカワウソちゃんも抗議します。
ただカワウソちゃんは何か面白がっているだけのような気がしますが……。
「アライさんのおかげでパークの危機は何度も救われたのだ。なーフェネック?」
「そうだねアライさん」
フェネックは子供を前にしたお母さんのような目で答えます。
「お前が甘やかすからこんなアホが生まれるのです」
「反省してほしいのです。それよりとっとと授業を始めるのです。お前らに付き合ってると切りがないのです」
そしてパーク史上初の学校教育が始まりました。
「まずこれから私のことを博士ではなく、コノハ先生と呼ぶのです」
「私のことはミミ先生と呼ぶのです」
「分かったのだ博士」
『・・・・・・・』
「アライさんは相変わらずだねー」
「?」
「それではさっそくじゅぎょうを始めるのです!」
本当にらちがあかないと判断し、博士改めコノハ先生は問題を出します。
「ジャパリまんを30個もらって、20個食べてしまいました。残りはいくつでしょう」
「アライさんはそんなに食いしん坊じゃないのだ! じゅ……5つあれば充分なのだ!」
「誰もお前の食い意地なんか聞いてないのです」
「はいはーい! 10個!」
アライさんがどうでもいい答えをする打ちに、以外にもカワウソちゃんが正解を答えます。
「ほう、アホにしてはやりますね。駄目駄目なタヌキとは大違いです」
「アライさんはタヌキではないのだ!」
「ちなみに今のはさんすうというものです。フレンズたるもの計算も出来なければ話になりません」
「そうだねー、アライさんはとっておいたジャパリまんの計算もできないからねー」
「しーなのだ! それはしーなのだ!」
「あはは、おもしろいー!」
「これががっきゅうほうかいというものですか……」
それからみんなが大人しくなるまで、数分かかりました。
「……ごほん、つぎのじゅぎょうです。次はこくごです。フレンズたるもの、言葉も満足しゃべれないようでは、お話にならないのです」
「それではフレンズになった意味がないのです」
「そこで正しい言葉をおぼえるのです。では問題を出します。高いの反対は?」
「えっと、高いのがひっくり返ったら……折れる?」
「ひくーい!」
今回もカワウソちゃんがしっかり答えます。
「ぬぬぬ、アホだと思っていたらなかなかやりますね。では次は少し問題を難しくするのです――」
「アライさーん、完全に無視されてるねー」
「でも、高いは折れる前に倒れるから……」
「アライさんは流石だねー」
フェネックちゃんは本人が気付いてないならそれで良いかなーと思いました。
「――384個のジャパリまんを295人のフレンズに渡す場合、何個のジャパリまんが必要――」
「113280個ー!」
カワウソちゃんは問題が言い終わる前に即答します。
「コノハ先生、合っているのですか?」
「……まさかこんなに早く答えられるとは思っていなかったので、計算すらしていないのです」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「わーい!」
しばらく黙ってから。
「どうやらお前は本当はそこそこ賢いフレンズだったようです」
「やれば出来る子だったのです。あんな生活してたらやる機会などありませんが」
「そっかー!」
カワウソちゃんは素直に喜んでいます。
「そしてもう一つ分かったことがあるのです」
「あるのです」
「こんな面倒くさくて疲れること」
「もう二度としたくないのです」
こうしてコノハ先生とミミ先生の学校は一日で終わり、パークに義務教育は定着しませんでした。
「えっと、30個もらってたくさん食べてもまだたくさん……」
「アライさん問題戻っちゃったねー」
おしまい
開校!ジャパ立ジャパリ校 けものフレンズ大好き @zvonimir1968
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