麒麟

プロローグ

あれはよく晴れた日だった。自分の吐く息が白く空に吸い込まれていく。寒いはずなのに私の体は火照っていた。何故だろう。寒さを全く感じない。

「時間、かな。」

少女はポツリと呟いた。誰にも聞こえないその声で。溜息をつきたくなった瞬間、少女の体はその時吹いた風に攫われるように落ちていった。鳥のように飛べた気がした。落ちていくだけの鳥に。やっと、終わる。

紺色の鳥が飛ぶのと同時に晴れていたはずの空から小さく儚い粉雪が降り出した。まるで少女を待ち受けていたかのようだった。

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麒麟 @kitamari07281

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