ジャガーとコツメカワウソ、ときどきトキ

あおいうみ

ジャガーとコツメカワウソ、ときどきトキ

かばんが橋を作ってから1ヶ月が経った。

川を渡ることが出来ないフレンズはすっかりいなくなってしまった。

まぁ困っているフレンズがいないことはとても良いことだ。元々は川を渡れずに困っているフレンズを助けるために始めたことだ。

かばんは凄いなあ。橋を作って、困っていたフレンズをたくさん助けてくれた。


川を渡りたいフレンズはいなくなったけど、川を渡るのはすっかり習慣になってしまったし、なんとなく毎日川を渡っている。まぁ、川から眺める景色は格別だしな。


今日もカワウソは滑り台で遊んでる。あいつも毎日毎日同じことして、よく飽きないもんだな。


カワウソ「あ、ジャガー!今日も川渡ってるの?よく飽きないねー!」

ジャガー「お前が言うか・・・」

カワウソ「川を渡れないフレンズがいるのー?」

ジャガー「いや、橋が出来てからはすっかりいなくなってしまったよ」

カワウソ「そうなのー?橋ってすごーい!」

ジャガー「そうだな、困っているフレンズが減ったのは良いことだね」

カワウソ「そうだ!誰も乗らないなら、わたしを乗せて行ってよー!」


カワウソは泳げるのに時々私の船に乗ってくる。

まあどうせ誰も乗らないだろうし、久々に誰かと一緒に川を渡るのも楽しいかもな。


カワウソ「わーい!やっぱりジャガーの船ってたーのしー!」

ジャガー「そう?楽しんでもらえて嬉しいよ」

カワウソ「誰も乗らなくなってさびしー?」

ジャガー「うーん、困ってる子がいないのは嬉しいけど、ちょっと寂しいかな」

カワウソ「寂しいの?ジャガー寂しいの?じゃあ私が明日も乗ってあげるよー!」


久々にフレンズを乗せて川を渡った。やっぱり楽しい。

そして明日もカワウソが乗りに来る。ちょっと楽しみ。


カワウソ「わーい!ジャガーの船ってたーのしー!」

ジャガー「私もフレンズと一緒に川を渡ると楽しいよ」

カワウソ「そうなのー?ジャガー嬉しそう!すごい嬉しそう!」


カワウソは困っているわけではないけど、誰かに喜んでもらえるのはとても嬉しかった。明日カワウソを乗せたらいつもと違うルート通ってみようかな。


次の日、カワウソはいつもの滑り台にはいなかった。

ジャパリまんでも取りに行ってるのか?まぁ明日はいるだろう。


その次の日も、カワウソはいなかった。


さすがのカワウソも飽きちゃったかな。まぁあいつは元々泳げるもんな。

まぁいいさ、いつも通り1人で川を渡るだけさ。


その次の日もカワウソはいなかった。


「あんなに楽しいって言ってたのにな…」



「◎△$♪×¥●&%#?!」


なんだ!?突然騒音が耳に響いた。セルリアンか!?


トキ「うふふ、私の歌、どうだったかしら?」

カワウソ「わーい!トキすごーい!」

ジャガー「トキ…、それにカワウソ!?」


どういうことだ?トキがカワウソを抱えて飛んできた。


トキ「この子、あなたの船に乗ってみたいフレンズを探してたみたいよ」

ジャガー「え、カワウソが!?」

カワウソ「ジャガーの船って最高にたのしーから、他のフレンズにも乗ってもらいたいんだー!」

トキ「ちょうど高山の下の方の岩場で遊んでいるのを私が見かけたってわけ」


フレンズを探しに行ったのか、遊んでいたのかどっちなのか…。


トキ「博士に聞いたんだけど、ヒトは歌をうたいながら川を渡ることがあるみたいなの。そこで私の歌を聞いてもらいながら川を渡るツアーはどうかしらと思って」

カワウソ「これでジャガーの船にいっぱいフレンズが乗りにくるね!わーい!」

ジャガー「カワウソ…」


川が渡れないフレンズはいなくなった。

でも、川を渡ってみたいフレンズはいるかもしれない。

困っているフレンズを助けることがなくなったけど、フレンズに楽しんでもらうことは出来るかもしれない。


ジャガー「よーし、じゃあ明日からは私とカワウソとトキで川下りツアーの開催だね!」

カワウソ「え!わたしも!わーい!たのしそー!」

トキ「うふふ、また私のファンが増えてしまうわね」


ありがとうカワウソ。明日が楽しみだ。


トキ「じゃあここで一曲。◎△$♪×¥●&%#~♪」

ジャガー「!!!!!」

カワウソ「わーい!たーのしー!」


前途は多難なようだ。

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ジャガーとコツメカワウソ、ときどきトキ あおいうみ @madagara

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