人生3回目の私と人生1回目の彼

@s2_melody

第1話

たまに、人生2回目じゃないかとおもうぐらい大人な考えをした人がいる。

どこで覚えたのか?

どこで学んだのか?

わからないが、人生を得して生きてる人がいる。




人はおそらく同じ人生を何度もぐるぐるしている。

壁にぶつかり、乗り越えられないと、

必ず次の人生で同じ壁にぶつかる。

今乗り越えなきゃ、次の人生で同じ問題にぶつかる。




私は結真(ゆま)

人生の仕組みがわかり、この人生を3回目繰り返している。

この世界には、人生1回目を無限ループしている人がたくさんいる。

壁にぶつかり、自分から逃げて、

ちゃんと1つの人生を終えることもできずずっと無限ループしている人がいる。

それが私の彼。




彼は生きてることが分からない。

なぜ生きてるのか?

なぜ辛いことが多いのに生きてるのか?

なぜ辛いのがあるのに生きてるのか?

分からない。



生きてたら幸せなことがあるよ。



そう思うのは幸せなことがあった人だけで、

彼ほど悩んでしまった人には

言っても意味はない。




幸せなことはあっても、

辛いことの方が多い。




そう彼はいう。

辛いことは悪いことなのだろうか?

そりゃ、辛いのは誰も嫌だが、

辛いことが無ければ幸せがわらかない。

辛いことは幸せなことのものさしだと思う。




だが、この言葉も

彼は分からない。




人は死ぬことが怖いから生きてるのか?

それとも

生きることに目的があるのか?

なぜ生きてるのだろうか?

彼は問う。




私はこの時初めて

生きることに目的を探している人を

見つけた。












それは、桜が満開に咲いた都立高校の入学式の事だった。

私は彼に出会った。

彼は周りからみたら他の人とは違っていた。

その違いに魅力を感じた。




東京だが、都会とは言えないそんな場所に

私たちは住んでいた。

高校のクラスは25人とやや少なめ。

私たちは同じクラスだった。





私は好きになった人にはまっすぐだから、

教室で彼を見つけすぐに彼に話しかけた。

「ねぇ!ひとり?隣座ってもいい?」

彼は黙っていた。

まるで私の存在がないかのように。

「ねぇ!きいてる?」

「あ、ごめんなさい」

彼は人と話すことを怯えていた。




周りはウェイ系のばかりで賑やかだった。

「みんなに紛れないの?」

「人と話すの苦手だから」

「じゃあ私と話そう!!」

彼は嫌そうな顔をした。

面倒だと思ったのだろう。

私は彼にたくさんの話をした。

だが、彼の反応はほとんどなかった。



私はこういう人をみると

世界の楽しさ、嬉しさを教えたくなってしまう。

私が存在する意味は人を幸せにする事だと考えている。

結構おせっかいと言われることは多いんですけどね。笑



彼に私は毎日毎日話しかけた。

ほとんど無視されているか、「うん」だけだったが…




2ヶ月話し続けたら彼はついに私に話してくれるようになった。




彼からの初めての言葉は

「宿題見せて」

だった。

私は内容には触れず、話しかけてくれた事が嬉しかった。

私は進んで見せてあげた。

聞かれてもいないが、解説までした。

聞いていなかったが笑



それから彼は宿題が出るたびに私を頼ってくれた。

頼ったくれたというか、使われている事に気付いていたが、

彼が楽しさ、嬉しさをわかってくれるなら、

そんなのどうでもよかった。

人生3回目だから。

他人には優しくしなきゃね。

人生の先輩として。




初めて話してくれた日から1ヶ月後、

私は毎日誘っていた

「一緒に帰ろう」

がやっと叶った。




友人には

「その長期戦で、毎日毎日0.0001ミリぐらいしか進んでないやつをよくフォローするよね」

とか

「ボランティアやってるの?」

とか言われてた。

たしかにそうだなと思う日もあった。

しかし、そう思う頃には

私は彼を好きになっていた。

だからやめられなかった。

離れたくなかった。

0.0001ミリでも毎日毎日進んでいる事が嬉しかった。





人生3回目で与えられた性格は

誰よりも純粋で素直、努力家

この才能がなかったら彼の小さな進歩に気づくことが出来なかっただろうし、続けることも出来なかっただろう。

誰よりも純粋だったから、

どんな小さな事も感じることが出来た。

どんな事も願いは必ず叶うと思ってたし、

素直だったから

怒られても、褒められても

誰よりも受け入れた。

努力家だったから

諦めることはしなかった。




もし、3回目で与えられた性格が違かったら

私は彼を好きにはならなかっただろう。





初めて彼と一緒に帰る時、

彼は私の事を送ってくれた。

その時彼は根は優しい人だという事がわかった。

会話はほとんどなかったし、

私が一方的に話しているだけで彼は「うん」ばっかりだったし、

でも一緒に帰れることが嬉しかった。

何より彼の性格をまた1つ知ることが出来た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る