優しさのカタチ

みすたぁ・ゆー

第1片 突然の電話

「えっ? い……言っている意味が……わ、分からないんですけど……?」


 ある日の夜、自室にいた私は着信した電話の内容を聞いて心臓が止まりそうになった。

 途端に呼吸が苦しくなってきて、スマホを持つ手や唇、返事をする声が無意識のうちに震える。


 ディスプレイに表示されている電話番号は、私の幼馴染であり彼氏として付き合っている関谷駿せきやしゅんくん。今年の春、同じ高校へ入学してすぐに恋人同士になった。


 でも今の会話の相手は彼ではなく、彼のお父さんだった。


『――沙耶さやちゃん、いいかい? 気をしっかり持って、もう一度よく聞くんだ。駿が予備校の帰り、交差点でトラックに轢かれて中央病院に運ばれた。今、集中治療室に入ってる……』


「……っ……」


 不意に私は全身から力が抜け、目の前が真っ暗に……耳にも何も聞こえなく……。

 

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