いつか、また会おう。この丘で。

神村

プロローグ

 私には、前世の記憶がある。

 正確には、前世のものとおぼしき記憶がある。

 人によれば、くだらないとか、信じられないとか思われるかもしれない。しかし、私が経験していない記憶があることは事実であり、それは否定することはできないものである…と思う。

「いつか、また会おう。この丘で」

 彼女は確かにそう言った。

 私は今世では知るはずも会ったはずもない彼女に興味があった。というよりも、使命感があった。


 会わなくてはいけない。


 しかし、その場所に心当たりは一つもない。なにせ、その場所には何もないのだ。

 どこにでもあるような丘なのだ。どこか、外国のような、日本のような、ファンタジーのような、この世界に似ているような、不思議な場所であることを除いては。

 いったい、どこに存在するのか。私は、そのことで頭がいっぱいだった。


 彼女はどこにいるのだろう。

 あの丘はどこにあるのだろう。

 

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