ジャパリカフェの新メニュー

けものフレンズ大好き

ジャパリカフェの新メニュー

 最近は多くのフレンズで賑わうようになったジャパリカフェ。

 博士と助手も常連になり、今日もアルパカちゃんの入れた紅茶を飲んでいます。

 けれども、どうもご機嫌が優れないようで……。


『飽きたのです』

「えぇ~!?」


 紅茶を飲み終わった後、博士と助手は2人揃ってアルパカちゃんに言いました。

「たまには紅茶以外のものも食べてみたいのです」

「バリエーションが少なすぎるのです」

「我々はぐるめなので」

「ぐるめなので」

「うーん、でもあたし料理の作り方なんてなんも知らねーし……」

 アルパカちゃんも困ってしまいます。

 そもそもアルパカちゃんも博士達同様火が使えません。

 お湯は電気で温めていますが、電気コンロの使い方もそれ以外よく分かっていませんでした。

「だめだぁ。あたしにはわかんね~よ~」

「ならば分かるフレンズに頼めば良いのです。我々にとってはそんなものちょいなのです」

「ちょいちょいなのです」

 そう言うと博士と助手は、それぞれ違う方向に飛び立っていきました。

 アルパカちゃんはそれをただ見送ることしかできませんでした……。


 それから数時間後――。


「お久しぶりです」

「えっと、初めまし、て?」

「いらっしゃぁ~い」

 博士と助手はそれぞれかばんちゃんとヒグマちゃんを連れてきました。

「この2人は火を恐れず料理ができるのです。さあ作るのです」

「作るのです」

「えっと……」

 かばんちゃんは困ってしまいます。

 いきなり歩いていたら博士にさらわれ、何の準備もなくそんなことを言われたのですから。

 ヒグマちゃんはさらに困ります。

「いや、私にはハンターとしての仕事がだな」

「今は大分安全になったので、残りの2人に任せれば良いのです」

「それよりも我々の胃袋の危機の方が重大なのです」

「何か作るまで帰さないって雰囲気ですね……」

「はあ、しかたない」

 結局かばんちゃんもヒグマちゃんも、博士と助手の強引さに負けてしまいました。


「それでは作れなのです」

「できるだけ急いで作るのです」

「とりあえず材料はどこに?」

「今回は用意していないのです。あるものだけでなんとかやっつけるのです」

「う~ん」

 博士達の要求はかなりの難題でした。

 かばんちゃんは図書館で見た本の内容を思いだします。カレーを作ったとき、それ以外の料理も調べていました。

 基本的に博士達の言われるままに作ったカレーを作ったヒグマちゃんは、完全にかばんちゃん任せで、今回は助手です。

「アルパカさん、ここにある材料は?」

「ないね~、全然ないね~。あたしにはそもそも食べられるかどうかすらわかんね~から~。食べられそうなのは紅茶の葉と、紅茶に入れるお砂糖とあとは……粉?」

「粉……ですか?」

「うん。カフェの倉庫にずっと入ってるんだけど、何に使うのかわからなくってぇ。そのままにしておいたの~」

「見せて下さい」

「どうぞどうぞぉ~」

 かばんちゃんはアルパカちゃんに倉庫まで案内されます。

 そこにあったのは――。


「完成です!」

「今回私何もしてないけど、来た意味あったんだろうか……」

 かばんちゃんは出来上がった物を博士と助手の前に置きました。

「とってもいい臭いがするのです!」

「なんなのですかこれは?」

「ケーキです。ちょうど倉庫にケーキを作るための粉があって、作り方も一緒に描いてあって……。オーブン? があれば良かったんですけど、なかったからお湯を使って蒸しケーキにしました」

 実際は電気コンロにオーブンはついていたのですが、さすがのかばんちゃんもそれには気付くことができませんでした。

 とはいえ利口なかばんちゃん、この少し後に完全に電気コンロの使い方をマスターしてしまいますが、それはまた別のお話……。

「まさかあの機械であんな事ができるなんて驚きだよぉ~」

「とにかく食べてみるのです!」

「不味かったら覚悟するのです」

 博士と助手は緊張しながら蒸しケーキに手を伸ばします。

「・・・・・・・もぐもぐ」

「・・・・・・・もぐもぐ」

「どうですか?」


『……合格です』


「よかったぁ……」

 かばんちゃんはほっとします。

 別に合格を貰わなくても良かったのですが……。

「甘くておいしいのです。もっと作るのです」

「アルパカもかばんに作り方を教わって、カフェで出せるようにするのです」

「了解だよぉ~」


 それからみんなでケーキと紅茶のティーパーティーが開かれることになりました。

 ヒグマちゃんも作っているときに気になったのか、一緒に楽しみます。

 折角なので、その場にいた全てのフレンズに振る舞われました。

 

 こうして突発的に開かれたティーパーティーは大成功に終わり、博士達も満足して帰って行きました。


 ただ、中には間の悪いフレンズも……。


「閉まっているのだー!」


「せっかくおいしいものが食べられるって聞いたのに、残念だったねーアライさーん」


「なんでこうなるのだー!」


                                  おしまい

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ジャパリカフェの新メニュー けものフレンズ大好き @zvonimir1968

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