主題吹き飛ぶレアケース
「やァー、これが噂のハマちゃんすかァー」
「この騒々しさが“マジパねえ”ですね」
今日はインターフェイスの2年生の集まりだ。それというのも昨日がつばめの誕生日、そして21日がヒロの誕生日だったということで合同誕生会が開催されている。俺の都合(昼放送の収録)で夕方開催になってしまっているんだけども。
いつもなら青女主催のイベントをめんどくさいとサボる律も、今日はヒロの誕生会だからかちゃんと来ている。ヒロの何が3年生方も恐れおののく鬼畜の律をこうまで平和的に動かすのかはわからないけど、律がいる。
「ヒロもハタチか! めでたさパねえ! つばみも凶悪さに磨きがかかってマジパねえ!」
「ハマ男、誰が凶悪って?」
「お前だお前!」
ヒロ、そしてつばめと仲がいいということで今回の集まりには青敬の真司も呼んでみた。初心者講習会からインターフェイスに出始めたということもあって、対策委員以外とは初対面だ。
向島にはいないタイプのキャラクターに、こーたと律がどん引きしている。ただ、余所様から見ればウチの連中も珍獣のようなものであるとは言っておかなくてはならない。何故か他校の先輩からの評価は高い奴らだけども。
「それにしても、2年生の集まりで飲み屋ってのも斬新だな」
「本当はLの部屋でも借りて時間も気にせずやってみたかったんだけどね」
「そうじゃんLがいた! 啓子さん、Lの部屋で良かったんじゃ?」
「真下が高崎先輩の部屋だからあまりうるさくも出来なくて」
「それは大変だ! 確かにこの人数であまりどたばたと騒ぐわけにもいかないな」
「アタシは飲み屋でる~び~ってのも全然アリだけどね」
「つばみマジハイピッチパねえ」
つばめの希望で串焼き系の店で開かれている飲み会だ。緑ヶ丘勢とつばめのビール消費量がとんでもない。それに追随するのが律とヒロ。ただ、越えられない壁があるとだけ言っておこう。
食べ物の方も食べ放題というありがたいコースだ。酒が飲めない分俺は食べる方で気合いが入っている。ただ、こちらでも果林が無双しているので何としてもその侵攻を阻止しなければならないのだ。
「ノサカねぎま取ってよ」
「お前も手を伸ばせば届くだろ。俺は忙しいんだ」
「食べとるだけやないの! 今日ボクの会やよ! ええから取ってよ!」
「しょうがねーな」
「あっ、ももの串いただきー」
「あーっ! 果林め! 見たかヒロ! お前に構ってる暇なんてなかったんだ!」
「なんやのノサカのいけず! りっちゃん、ノサカがいじめる!」
「やァー、通常運転スわ。食糧戦争の場に近付く方が悪いンすよ」
誕生会とは名ばかりで、実状はただの飲み会だ。果林に食べられてしまった串を改めて注文しつつ、俺は食べても食べても満たされない腹を宥めるのだ。米がなければ食べたうちに入らないんだぞ。
「いいなあインターフェイス仲の良さパねえだろ、誕生会やるとか」
「アタシ今日ダブルブッキングなんだよね」
「えっ、つばみ大丈夫なんか」
「今日は班でも誕生会なんだよ。朝霞班て朝霞サン以外全員誕生日固まってるから」
「それにしては飲んでるじゃんな」
「こんなの準備体操っしょ?」
「つばみパねえ」
「うっさいわハマ男次パねえっつったらシメるぞ」
先輩たちにはあまり理解はされないんだけど、2年生はとても仲がいい。集まる頻度も結構な高さだし。時々とんでもないムチャ振りとか不可抗力もあるけど、それには目を瞑らされつつ。
「なあ野坂、もっと馴染んだら俺の誕生会もやってもらえんのかな!」
「全然いいと思うけど、真司の誕生日って?」
「あっ俺? 2月の23!」
「全然先じゃないか」
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