教えてジャガーさん!

けものフレンズ大好き

教えてジャガーさん!

 黒セルリアン討伐から数日後――。

 あのとき戦ったフレンズ達も、それぞれの日常へと戻っていきました。

 でもあのときの出会いはフレンズ達にとって大きな財産となりました。

 中には早速それを有効活用しようとするフレンズもいて……。


「じゃあ今日はよろしく頼むよ」

「ええ~……」

 突然の申し出に、ジャガーちゃんは戸惑います。


 ある日のこと、いつものように泳げないフレンズ達を運んでいると、突然乗っていたフレンズの一人であるオオカミちゃんがこんな事を言ってきました。

「実は私は漫画を書いているんだが、そのネタ探しにいろんな職業のフレンズの取材をしようと思っているんだ。その第一弾として協力してくれないかな?」

「はっ?」

 最初何を言われたのか、ジャガーちゃんはよく分かりませんでした。

 何故ならジャガーちゃんは、自分が運輸業として働いているという認識があまりありません。

 ただ困っているフレンズがいるから、自主的にそうしているだけなのです。

「えっと、アタシは別にそういうことは……」

「まあまあ、とにかく落ち着いたところで話そうじゃないか」

「うーん」

 頼まれるといやといは言えないジャガーちゃんは、仕方なく接岸します。

 

 そうしてオオカミちゃんのインタビューは始まりました。


「というわけで早速始めさせてもらうよ。まず何故この仕事を始めようと思ったんだい?」

「それは困ってるフレンズいたからかなあ。一度溺れる寸前のフレンズを見かけて、これじゃ危ないって。ちょうど良いところに道具もあったしね」

「なるほど……」


「たーのしそー! なにやってるの!?」


 そばで遊んでいたコツメカワウソちゃんも、気になってやってきました。

「インタビューをしているのさ」

「いんたびゅー?」

「ああ。私が色々質問してジャガーに答えて貰ってるんだよ。その話を参考に漫画を書くというわけさ」

「たのしそー! 私もしたーい!」

「うーん、でも君から聞くようなことは今は特に……」

「じゃあ私がジャガーにいんたびゅーする!」


『ええ~!?』


 これにはオオカミちゃんも驚きます。

 ジャガーちゃんにしてもほぼ毎日会っているので、今更聞くようなこともないだろうと思っていました。


 ですが、オオカミちゃんはすぐに思い直しました。

「いや、でもこれは別の視点も見られて良いかもしれない。そうだなせっかくだからやってみてくれ」

「わーい、それじゃあねえ、えーっとえーっと……」

 コツメカワウソちゃんは考えます。

 あまり考えるのが得意ではないので、とりあえず思いついたことを深く考えずに言ってみました。


「石何個持てる!?」

「えー石ー? そうだなあ、うーん10個ぐらい?」

「すごーい!」

「ふむふむ。それでは私からも質問させてもらうよ。今までで一番辛かったことは何かな?」

「それはい……」

 思わず「今」と言いそうになりましたが、ちゃんと空気も読めるジャガーちゃんは、「い……いっぱいフレンズに乗られたときかな」と言い直しました。


「確かにそれは辛いだろうね」

「それじゃー次は私ー! えーっとねー、泳ぎながらジャパリまん食べたことある!?」

「いやーそれはないね」

「そうなんだー私やってみたい! 面白そう!」

「あんまりしない方が良いと思うけどなあ……」

 

 そんな感じで役に立つのか立たないのか、いまいち分からないインタビューは続き――。


「ありがとう、とても参考になったよ」

 日暮れ頃にようやく全て終わりました。

 ジャガーちゃんはほっと胸をなで下ろします。

 カワウソちゃんは知らない間に、滑り台で遊んでいました。

「この話は漫画に役立たせてもらう。私が描いた漫画『ホラー探偵ギロギロ』はとしょかんにあるから興味があったら読みに来て欲しい。それじゃあ」

「さよなら、またね」

 ジャガーちゃんはオオカミちゃんの姿が見えなくなるまで見送りました。


 そして数ヶ月後――。


 じゃんぐちほーは乾期になり、ジャガーちゃんのお仕事もお休みです。

 そんな時、ジャガーちゃんはオオカミちゃんの話を思い出し、折角なのでカワウソちゃんと一緒にとしょかんに行くことにしました。


「えっと、『ホラー探偵ギロギロ』ってこれかなあ」

「わーい楽しみー!」

 ジャガーちゃんは博士に教えてもらった場所まで行き、オオカミちゃんの漫画を読むことにします。


 『ホラー探偵ギロギロ対石まじん!!!』

 ホラー探偵ギロギロは一偏に石を10個も持てる橋渡しまじんの陰謀で、川に溺れそうに! しかし泳ぎながらジャパリまんが食べられたおかげで、なんとか窮地を脱出する。そして他のフレンズの助けを借りて、いっぱい乗られることが弱点の橋渡しまじんを見事に倒すのだった! だが石まじんは実は困っているみんなのために、石を10個持っていて――」


「……わからん、全然分からん」

「たーのしー!」


                                  おしまい

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教えてジャガーさん! けものフレンズ大好き @zvonimir1968

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