第27話 挿入
盆休み。
只今夜の9時。
昼頃からずっと庭で焼肉中。
途中、激しいハプニングがあったものの、今も尚、かなりいい感じで盛り上がっている。
この調子だと、おひらきは深夜になりそう。
この焼肉、計画したのは春。
しかし、実行しようとする度、必ず誰かに用事が入って参加できず、延びに延びて、もう8月。
月初めに葉月が誕生日を迎えたこともあったので、是非とも祝いたい。
今度こそ、なにがなんでも実行したいのだ。
盆休み前日の夜。
仕事も無事終わり、帰宅。
やることやって、いつでも寝れる状態になったところで克洋から連絡。
いつもの如く、要の部屋で二人飲みが始まった。
その中で、
「たいがいで焼肉せないかんよね。明日から盆休みやき、みんな揃うんじゃねーやか?今から連絡してみよっか?」
というハナシになった。
早速葉月に連絡したところ、呆気なく全員揃い、実行できることに。
焼肉当日の午前中。
声をかけたヤツらが要の家へと集結する。
集まったのは要、陽、葉月、克洋、結唯、夏美、晴美、晴美彼氏。
全員揃ったところで買い物担当と、火熾し担当に分かれる。
買い出し部隊は女子チーム&お子様。
いつものスーパーへと買い出しに行く。
オイサンは二人で火熾し。
バーベキューコンロに炭を入れ、着火剤をぶっかけ点火。
火が落ち着いてきたところで、買い出し部隊が帰ってくる。
直ちに結唯が、食材の下ごしらえに取り掛かる。
若手はその他の準備。
お菓子や惣菜、焼き肉のたれや味塩コショウなどの調味料、紙皿などをテーブルの上に並べ、飲み物をクーラーボックスにぶち込み、冷やす。
オイサン二人は焼き係。
缶ビール(ニセモノ。この日はクリアアサヒ500ml)片手に、手羽先、ソーセージ、ホルモン、エビ、イカ、ホタテ貝柱などを焼く。
焼けると、熱いうちお子様と若手に食っていただく。
そうしている間に、食材の下ごしらえも終わる。
焼き係はそれらを焼いていく。
若手のお腹もある程度落ち着いた。
ペースが落ちてきたので、オイサン二人も肉に手をつけ始める。
バカ話で大盛上り。
楽しいひと時。
結構な時間が経過し、食うペースもだいぶ落ち着いた。
順調に酒も進み、いい気分。
ボチボチ他のも飲みたいかな。
酒関係は、ビール(ニセモノ)の他に日本酒、焼酎、酎ハイ、カクテル、ハイボールなども用意してある。
ビール(ニセモノ)にも少々飽きてきた要は、日本酒へと進化することにした。
湯呑一杯ほど飲んだところで猛烈な眠気に襲われる。
原因はセンズ●。
昨晩、遅くまでエロい動画を見ながら抜いていた。
相方がいないため、溜まりまくりなのである。
風俗という手もあるけれど、結構高いのでそうしょっちゅう利用するわけにもいかない。
頻度としては、多いときで月1~2回。
そんなところに見つけた、結構激しくてアップの多い動画。
思いの外良くて、年甲斐もなく3発も発射してしまった、とゆーわけだ。
擦り過ぎた為、肉棒の尿道側がちょっと痛かったりする。
そりゃ~寝不足にもなるよね。
ついに限界。
「チョイ眠い。一瞬寝てくる。すぐに復活する予定やき、勝手にやりよって。30分して起きてこんやったら起してね。」
そう言い残し、自分の部屋に行こうとすると、
「なんか?昨日コキ過ぎたんか?」
克洋からズバリ言い当てられる。
相変わらず鋭い。
「うん。昨日見た動画、でったんよかったっちゃ。アップがでったん多いんばい!」
眠いくせに、キラキラした表情で情報提供。
「マジでか!」
目の色が変わる。
その手の趣味は、かなり被る。
だから、要がそこまで気に入ったモノであるのならば、克洋も必ず抜ける。
「うん。かなり燃えるばい!帰りがけ、おしえちゃーね。」
「おう!楽しみしちょく。」
しょーもないことで盛上るオイサン二人。
素晴らしい情報を入手できることになった克洋は、滲み出る嬉しさが隠せていない。
だから。
「もー!要くん!コイツにそげなコトおしえんで!カツはそげなもん見よったら、させてやらんきね!」
結唯から怒られる。
「あ…ごめんごめん。」
「ごめんなさい。」
すぐに謝った。
実は結構尻に敷かれていたりする。
「ホントもぉ…男っち、なしこげあるっちゃかねぇ。」
呆れ果てられている。
部屋に向かおうとすると、
「要くんのスケベ!」
葉月から怒られた。
男はホント、アホである。
なんとか寝床へと到達し、扇風機をオン。
蚊取り線香に点火。
最近買った、お気に入りの二代目抱き枕(初代はエッセを買ったとき、ダイハツのアンケートに答えたら当たった。よだれと色んな汁で変色、劣化し、先日とうとう破れ、中身が出てしまい使用不可能となった)を抱きしめ、股に挟み込んで、深い眠りへと落ちてゆく。
その頃。
外ではしこたま盛り上がっていた。
飲み物のおかわりをしようと、クーラーボックスを開ける葉月。
今度はサッパリしたヤツがいーな。レモンスカッシュかぁ…今度はこれにしよ。
最初に目についた缶を手に取る。
ここで一つ。
この場では、子供と未成年がいるので、ジュースと酒は別々のクーラーボックスに入れて、なおかつ間違わないように離して置いてある。
近頃のカクテルや酎ハイは、ジュースと見間違う絵柄が多いからだ。
という、取って付けたような説明が、ここであえて入るということは。
はい!もうみんな分かったね!
そう。
葉月さんが見事にやらかすのです。
未成年の誰かがジュースをおかわりしているうち、酎ハイとジュースを間違えたコトに気付き、戻したところ、クーラーを間違えていた。
葉月がレモンスカッシュと思い、手にしたのは氷結ストロングのシチリア産レモン(アルコール9%)。
酎ハイで最も強い部類。
缶を開けて、何のためらいもなく飲んだ。
口に含んだ瞬間、
ん?ちょっと苦くね?
思ったものの、
レモンやし、こんなもんか。
気にせず飲み続ける。
それからしばらく経って。
「ふ~…なんか顔…火照る~…。でったん汗出るし…。」
独り言。
首にかけたタオルで汗をぬぐい、Tシャツをパタパタしだす。
なんとなく葉月の方に目線を移した晴美。
コイツ、何でこげ赤いん?
疑問に思った。
でも、まさか酒なんか飲んでいるとは思ってもなくて、
日が照りよるき、暑いんやね。
そう解釈し、再び食べ始める。
さらに時間は経過。
各々が、自分の食べる分だけ勝手に焼いているといった状況。
丹精込めて焼き上げた肉を食べようとすると、焼き肉のたれがない。
紙皿に注ぐため立ち上がろうとしたら、
「おっと…。」
足に力が入らず、よろめいた。
何事かと思い、全員が注目。
気分でも悪い?
それとも熱中症?
良くないことが頭をよぎる。
「葉月ちゃん?大丈夫?」
結唯が声をかけると、
「勿論ですとも~。」
挙手して応えるものの、なんだか目が虚ろ。
テンションもおかしく、フワフワしていらっしゃる。
ん?これっち…もしかして!
あることに思い当たった。
まさかと思い、葉月の飲んでいたジュースの缶を見てみると。
やっぱし!
「あっ!葉月ちゃん!この子、間違って酎ハイ飲んじょーが!しかもこれ一番強いヤツ!」
缶を手に取ると、
「あーあ。全部飲んでしまっちょーし。」
既に空っぽ。
完全に手遅れだった。
大人でもかなり効く9%の酎ハイ。
まだ、飲む習慣なんかない未成年だから、抜群に効く。
足にきていた。
上半身が円運動するように揺れている。
いつもはクリッとして目力がある目。
トロンとし、視点が定まっていない。
すごく眠そうで、半分閉じかかっている。
「はぁ?ホントやん!大丈夫?」
克洋も心配する。
「はい~。でも~…なんで~?ウチ~…ちゃんと~…ジュースのクーラーから取ったよぉ~?」
「全然大丈夫やなさそうやね。いっとき寝ておいで。」
「は~い。」
手を挙げてヘラ~っと笑う。
超絶ご機嫌のようだ。
陽が心配して手をつなぐ。
そして、
「葉月ちゃん。ソファー行こ。」
「…うん。」
強制退場となった。
「あはは。アイツ、バカやねー。」
「普通、一口飲んだら気付くよね?」
晴美は彼氏と大爆笑している。
葉月はというと。
廊下の壁にぶつかったり、段差に躓いたりしながら、やっとのことでソファーに辿り着き、横になる。
しばらく眠っていたのだが、
「トイレ…。」
目を覚まし、フラフラしながらトイレに向かう。
途中、要の部屋の前。
戸が開いていた。
蚊取り線香を燃やし、扇風機に当たりながら、絶賛爆睡中。
「要くん…寝ちょーね。」
寝ている大好きな人を確認すると、ヘラ~っとニヤケながら、一旦は通り過ぎる。
トイレを済ませ、戻ってくると、
「要くんの部屋…。」
また、立ち止まる。
ちょっとの間、眠る姿を見ていて、
横で寝てやれ!
普段なら、恥ずかしくて絶対にできないコトを思いつく。
アルコールの勢いも手伝って、寄り添うようにコロンと横に寝転がる。
抱き枕…。
さらにしょーもないことを考えつく。
これが後々大変なコトになるとも知らず。
しばらくすると寝返り。
抱き枕を離し、大の字になった。
今こそ実行でしょ!
抱き枕をどかし、代わりに自分が横になる。
恥かしさは一体どこへ?
要くんに添い寝♥
ウチが要くんの抱き枕!
腕枕までして、
うん。いー感じ♬
超絶ご機嫌のまま、再び深い眠りへと落ちてゆく。
要は。
再度寝返り。
抱き枕を抱きしめ、股で挟み込む。
ん?妙に肉々しいな…しかも温い…ま、いっかぁ。
おかしいとは思いながらも、そのまま睡眠続行。
夢の中。
その抱き枕を見てみると…。
葉月の顔写真がプリントしてある。
…あれ?抱き枕っち…こんなんやったっけ?たしか無地やったよーな…顔、葉月ちゃんやし…しかもえっれ~精密。まるでダ●チワイフみてー…ま、どーせ夢やし、良しとしちょこ。
変に納得し、さらに抱きしめると、その抱き枕は揉みやすいように、背中を向ける感じで寝返った。
「葉月ちゃん…。」
胸の位置へと手を回す。
優しい柔らかさが、そこにはあった。
葉月は近頃、遅れ馳せながら成長期。
背が、春の釣りの時よりもさらに伸び、高二にしてやっと150cmに届きそうなのだ。
それに伴い、胸も少しだけランクアップした。
なんともリアルな…どーせ夢やき、何でも有りやろ。
ユックリと優しく揉み続けると、
「ん…」
色っぽい声がした…気がした。
実際には「気がした」じゃなく、ホントに声が出ているのだけど。
愛撫は続く。
Tシャツとブラを捲り上げ、ダイレクトに揉み始める。
葉月のことはこの上なく大切だ。
それは紛れもない事実なんだけど…。
起きているときには絶対こんなことしないのだが、今は夢の中。
あえて欲望を爆発させる。
夢やきいいよね?いいくさ。
自問自答し、どんどんエスカレート。
パンツのお腹側から掌を滑り込ませ、マ●コを探り当てる。
しばらく中指をズボッたりコリコリしていたが、どうにも穿いているモノが邪魔なので、全部膝までずらす。
あらわになった敏感なトコロを優しく刺激。
徐々に潤ってくる。
尚も続けると、溢れ出すほどになった。
ここまでされているのに未だ睡魔に支配され、目が覚めない葉月。
嫌がりもせず、触らせ続けている。
中指が穴へと侵入。
またもや、
「ンあ…」
声がした…気がした。
「気がした」ではなく、実際に声が出ているのだけれど。
やっぱ、声したよね?
抱き枕、こんな機能付いちょったんやね~。ホントよく出来ちょーね~。
不思議だな、とは思っているものの、夢と思っているため躊躇しない。
葉月はというと…。
全く同じ夢を見ていた。
愛する人から胸を揉まれ、感じ、大事なトコロに指を突っ込まれ、感じ、幸せな気分を満喫していた。
葉月もまた
要くんとえっち♥
夢やきいーよね?いーくさ!
都合がいいように解釈する。
既に濡れ過ぎるほど濡れている。
夢の中だけではなく、実際にも。
入れてもいーよね?いーくさ。夢やもん。何でもありあり。
互いの都合がいい解釈は尚も続き、先へ先へと進んでゆく。
これでもかというくらい、フル勃起。
もぉ、入れるしかないよね!
夢の中でチャックをオープン(実際はパンツ一丁。寝る直前にハーパンは脱いだ)。
パンツをずらし、チン●を出し、濡れたトコロに当て、ゆっくりと腰を進ませてゆく。
完全に入り、腰を振ろうとしたとき、
ん?なんで?
どうにもおかしい。
妙にリアルな感覚がある。
熱くて、ものすごく気持ちいいのだ。
え?これ…ホントに夢?
そう考えたところで、
「痛い!要くん痛い!!」
葉月の叫ぶ声がする。
抱き枕が動いている。
え?どーゆーこと?
意味が分からない。
徐々に眠気が覚めてゆく。
葉月は…。
後ろから大事なトコロにチン●を当てられ、それがゆっくりと侵入してくる。
といった夢を見ている。
マンズ●を覚えた時と同じげな夢…これが現実やったらいーのにな。
ウチの初体験!大好きな人と!
理想の展開なので、好きなようにさせていた。
夢の中で。
なのに、入ってくる場面になると、ものすごくリアルに痛い。
流石に寝ていられなくなり、目を覚ます。
ふり返ろうとすると、ガッツリ抱きしめられていて動けない。
え?なんで?どーゆーこと?
というよりも!
●ンコが、焼け火箸を突っ込まれたかの如く激痛だ!
何?何が起こった?
下半身を見てみると。
!!!
ショーパンもパンツも膝まで下がっていて、大事なトコロが丸出しになっていた。
Tシャツもブラも捲れあがって乳がモロ見えだ。
なんで?なんでこげなことになっちょーん?
考えが追付かない。
腕は比較的自由に動かせるので、お股を触ってみる。
指に血が着いた。
へ?なんで?
自分のとは明らかに違う感覚の何かが、これでもかと言わんばかりにザックリと刺さっていた。
痛さは現実のものだった。
一気に眠気が吹っ飛び、
「痛い!要くん痛い!」
思いっきし叫んだ。
目が覚めると。
抱いていたはずの抱き枕はどこかへ行ってしまい、葉月になっていた。
なんで?どーゆーこと?
身体の重なり具合から、●ンポの感覚が現実のものだと理解した。
根元まで完全に埋没している。
と同時に、今どういった状況かも理解する。
途端にチ●ポが萎え、合体解除。
激しく飛び起き、
「葉月ちゃん!ゴメン!」
猛烈な勢いで、深く深~く土下座。
何も答えず、そのままの姿で涙を流している。
只ならぬ声を聞きつけ、全員が要の部屋へと駆け込んでくる。
「なんか今、痛いとか聞こえたけど!何があったんか?」
二人の状況を見て、全員愕然とする。
どう見ても、犯した現場だ。
克洋から、
「お前!何しよんか?」
怒鳴られた。
ちなみにお子様たちは。
「はい!二人とも外行こーね!」
この状況は流石に見せられないため、結唯が外へと連れて行った。
晴美と晴美彼氏は、吹き出しそうになるのを必死こいて堪え、目の前で起きている出来事を存分に楽しんでいる。新学期始まったら、どう面白おかしくみんなに伝えるか、考えている真っ最中。
自分史上、最強に気まずい。
とても言い訳できるような状況じゃない。
正座したまま、夢で見た出来事を話すことにした。
「あの…夢見て…抱き枕が…なんでか葉月ちゃんの顔がプリントされたモノに変わっちょって…そのまんま抱きしめよったら、気持ちよくなってきて…夢やきいーや!っち思ってチン●入れたらホントに入っちょった。」
「はぁ?なんかそれ?漫画でもそげなこと起きんぞ?わざっとやねーんか?」
とりあえず疑われる。
「バカゆーな!」
本気で否定すると、
「まぁ…そーよねぇ。お前、ヘタレやき無理矢理そげなコトするとは思えんし。ちゆーか、フォローもできんわい。」
キャラと日頃の行いで、すぐに納得してくれた。
呆れ果ててはいたけれど。
「あとは自分らで、よーと話し合え。」
そう言い残し、部屋から出て行く。
再び部屋の中で二人きり。
「ゴメンじゃ済まんばってんが…ホント、ゴメン!」
謝ると、小さな声で
「ううん。大丈夫。痛いでビックリしただけ。」
怒ってはいない様子。
というか、恥ずかしそうに微笑んだ。
そして、なんでここにいるのか、経緯を話しだす。
「要くんゴメンね。ウチ、つい出来心で…。」
「何が?」
「えっとね…ウチ、要くん寝た後、間違ってお酒飲んでしまったんね。」
「は?そーなん?」
「うん。それで…ベロンベロンになってね、ソファーで休んどったちゃけどね。トイレ行って戻ってくるとき、なんか要くんの横で寝たくなって…面白半分で横になったら、そのまんま寝てしまって…。」
「だき、横におったって?」
「うん。変な疑いかけられたきゴメンね?」
「いや…寝たコトは別にいーっちゃけど…初めてやったっちゃろ?」
「うん。」
「ホント、何ち詫びたらいいか…ホント、ゴメンじゃ済まんけどゴメン。」
「ううん。そげ謝らんで?ウチ、全然怒ったりしてないき。」
目を見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
今回の大事件。
シチュエーションも順番も滅茶苦茶だったとは言え、大好きな人と初体験ができたのだから、葉月的には大満足の結果である。
ホントに嬉しいと思えたから、こんな状況でも微笑むことができた。
といったワケで、冒頭の焼肉の場面へと戻るのだった。
後日、晴美からは25点がプレゼントされ(揉まれる+指入れられる+ナマ-汁が出なかった分=2点×1+5点×1+20点×1-2点)、ゴム一箱(豪華賞品)が贈呈された。
高二の夏。
また一歩、大人の階段上りました。
by葉月
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