片腕に思う


伝えたい想いは前からあった

ただただ時間は通り過ぎたけれど

多分あの時のあの想いが一番素直だった

手を繋ぎたい

髪を梳いてやりたい

抱きしめていたい

名前を呼びたい

隣にいたい

それだけを切に願っていた

墜天のこの気持ちを持っていることは

許されず

情愛と僧愛の狭間に立つことは

全くできず

ただただ貴方が愛おしいという事実だけが募っていく

胡乱な心が痛んで

陳腐な体が崩れ落ち

尚もそこにあるこの感情を

紙に記しかろうじて…

現世にとどめておくことだけが

可能だった

問うしかない

何故、言えなかったのか…

たった一言を

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