私の罪と恋

ワカン

第1話出会い

いつものように、満員電車に揺られながら好きな音楽を聴き風景を眺める。


「はぁ~、何か変化が欲しいなぁ。会社と家の往復とたまに仲のいい人達との飲み会ばっかり・・・こんなはずじゃなかったのに・・。」


そう心の中で呟きながら、駅を降り会社に向かう人混みと混じる。

会社に着くと、


「おはようございます。今井さん!!」

後ろから明るく声をかけてきたのは、後輩で社会人1年目の可愛い相原ゆりだった。


「おはよう。朝から元気だね。」


「えっ?そうですか?」


「何か良いことでもあったの?」


「えっ‼」


「可愛いねぇ~。顔に出てるよ。」


「本当ですか⁉恥ずかしい‼」


少し頬を染めながら言う彼女がうらやましい。こんな感情を私はいつから無くしてしまったんだろうと思っていると


「よっ!!何?朝から盛り上がってるの?」


軽い感じで絡んできたのは同期の藤井亮だ。


「あっ、藤井さん!!おはようございます。」


「おはよう!!相変わらず可愛いね。ゆりちゃんは!!」


「もぉー、何言ってるんですか‼」


「亮セクハラになるよ。ったく軽いねぇ~。」


「何?機嫌でも悪いの?ツカサは?」


「ハイハイ。」


軽くあしらうと、


「ノリが悪いよ~。ゆりちゃんみたいに可愛くした方がいいよ?お前は、ただえさえ顔が怖いんだから。」


「藤井さん!!そんな事ないですよ‼今井さんは女性の人からモテモテなんですから‼」


相原はキラキラした目で言うと、私を見つめるので


「ありがとう。」


頭を軽くポンポンして微笑むと


「いえ‼本当の事なんで!!あっ、私会議の準備が!!お先に失礼します。」


少し照れながら言うとパタパタと、その場を離れる。その様子を見送って、私が自分のデスクに向かおうとすると


「へぇー、同性にはそんな顔するんだ。」


「はぁ?」


「お前さぁ~、そういう顔を男にも見せた方がいいよ?」


そう言うと、藤井は離れる。その言葉に、少しイラッとしながらデスクに座り仕事をする。資料をまとめ、午後から会議といつものようにバタバタと仕事をこなし業務終了。デスクで疲れた肩を伸ばすと・・


「お疲れ様。」


急に話しかけられビックとしながら振り向くと・・そこにはうちとよく契約してるっ桐山篤志だった。


「あっ、桐山さん。お疲れ様です。今日はどうしたんですか?」


「うん?あぁ~、契約の再確認に。」


「そうなんですね。いつもお世話になってます。桐山さんのおかげさまで色々と助かってます。」


「そんなかしこまれると・・困るよ‼今井さんが細かく資料をくれるからこっちの方が大助かりだよ‼もう、仕事終わり?」


「はい。もう帰る予定です。」


「そっかぁ~、この後って何か予定とかあるの?」


「いえ?何もないですけど・・?」


「もし良かったら食事でもしない?」


「えっ?」


「あっ、迷惑ならいいんだ。」


「そんな事ないですけど・・」


戸惑う訳は、彼は既婚者で私の一目惚れの人でもあったから・・初めて会った日の事は今でも鮮明に覚えてる。

私が、初めてプレゼン日。何もかも初めてで緊張と心配事でいっぱいの時に、彼が居たのだ緊張せいで手が震え資料を落とした時に拾い優しく微笑み


「そんなに緊張しないで?ゆっくりでいいよ。」と言われ私は、キュンとした。その日以来、私は彼が会社に来るたびドキドキしながら挨拶しに行き話をするようになるが、先輩から彼が既婚者だと聞くと私の恋心が終わった。

それでも、大事な取引先であり契約更新してもらう為・・何度も顔を合わせる。そんなある日、私は部署の変更がありその日以来顔を合わせることもなくなった。


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