エピローグ 或いは~
ぱたん。
やっと読み終えた。
とはいっても、数ある書物…日記、という名の冒険譚…の一冊に過ぎない。
「エリエルの日記」と手書きのタイトルは、華美な装飾もなく、一見しただけでは普通の日記にしか見えない。
しかし、祖母が書き記した(恐らく彼女の事だ、過度の演出や思い込みも入っているに違いない)日記は、普段神学校で魔術式の教鞭を執っている人物が書いたとは思えないくらいに、楽しく、情感がたっぷりだった。
「ふう。」
今夜はこの位にして、明日に備えなければ。
明日はその祖母の講議が朝イチからなのだ。遅刻はもとより、ちゃんと話を聴きたい。
それに、今夜はきっといい夢が見れるだろう。
書物をナイトテーブルに置き、ライトを消す。
お休みなさい、お婆ちゃん。
今朝はいい天気だった。スモッグもなく、晴れた朝の空気が心地いい。
リビングを通りすぎようとした時に、ラヂオからニュースキャスターが何事か報告していた。
何でも、陸軍の元貴族の将校が
それを摘発した女性警部が表彰されるか、どうかとか。
「立派なものね、表彰すべきよ。」とは母。
応えて「女性がねえ、時代だなあ。しかし、軍警はそう単純に行かないんだろうな。」父の言葉。
「コニー・ジェイムスン警部はこの件に関しては、法の正義を示せればそれだけで良いと…」
ふうん。ジェイムスン警部ってもしかして、かしら?
リーリエルはダイニングの席に着くと、食事に手をつけて、今日の話題はコレなのかなあなんて。
今日も一日が始まる。
~fin~
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