マタタビでどったんばったんおおさわぎ

@zatou_7

第1話 ネコまっしぐら!

 ここは穏やかな風と木漏れ日の眩しいジャパリパークのとある森林

カバンちゃんとサーバルちゃんは旅の道すがらバスを降りて少しばかり森林浴をしていた

「森は木の香りがして歩いてるだけでも気持ちいいね!」

「ホントだね、サーバルちゃんは森って来ることはあるの?」

「あんまりないかなーサバンナが縄張りだもん!」

「そっかー」

 そんなとりとめのない話をしながら大自然を満喫しているとサーバルちゃんの足が突然止まる

「クンクン…なんだろうこの匂い…なんかうみゃ~ってする~」

「匂い・・・?うーん、ボクにはわかんないや」

「こっちの方から匂いがするよ!いこうカバンちゃん!」

「あ、待ってよサーバルちゃん」

 サーバルちゃんが匂いの元へと一直線に駆け出しそれを追うカバンちゃん

 サーバルキャットの優れた嗅覚ですぐにそれは見つかった

「これだよ!ここから匂いがするよ!」

「何かの木だけど・・・ん?なにか樹の実が…あ、地面に一個落ちてたよサーバルちゃん」

「見せて見せてー!…クンクン…みゃんみゃんみゃんみゃん…みんみー!!!」

 ドタッ!!!

 突如サーバルちゃんが横倒しになり倒れたかと思ったら猫の手で顔を洗い始め地面でゴロゴロクネクネと奇妙な動きをし始める

「うわぁ!サ、サーバルちゃん大丈夫!?!?」

 突然のサーバルちゃんの奇行に素っ頓狂な声をあげるカバンちゃん

「ら、らいじょぶりゃよぉ~しゅごぉーい・・・にゃにこりぇ~うみゃ~」

 ろれつが回らず目は明後日の方向を向いたまま恍惚とするサーバルちゃんをどうしたらいいのか分からずへたり込み見つめるカバンちゃん

「えへへ~カバンちゃ~ん!ゴロゴロ」

「ちょ、サ、サーバルちゃん!」

カバンちゃんの膝の上に乗ってゴロゴロと身体をすり合わせるサーバルちゃん

「ふわぁぁ~すごいふわふわして気持ちいいよぉ~カバンちゃんの脚の上だからかなぁ?カバンちゃんって・・・柔らかくてすっごいいい匂いするね~」

 サーバルちゃんは大丈夫と言っているがどう見ても大丈夫じゃない、一大事である

「この樹の実のせいだよね・・・クンクン・・・ボクはなんともない、でもサーバルちゃんはこんな状態になって…どうしよう…これラッキーさんならわかるかな?」

 悪い想像が頭をよぎりこの実の正体を確かめんとすべくカバンちゃんはひとまずサーバルちゃんを置いてバスに待機してるボスの元へ駆ける

「ラッキーさん!!!」

「オカエリ カバン」

「サーバルちゃんが・・・サーバルちゃんが・・・!!!」

 今にも泣き出しそうな顔でボスに詰め寄るカバンちゃん

「ドウシタノ? オチツイテ ハナシテ」

「森でこれを拾って…それでこれを嗅いだサーバルちゃんがなんかおかしく…ボク…どうしていいのか・・・サーバルちゃん大丈夫なんですか!?」

「コレハ ”マタタビ” ダヨ」

「マタタビ?」

「マタタビハ マタタビカ マタタビゾクノラクヨウツルセイモクホンデ…」

「そうじゃなくてマタタビはサーバルちゃんに毒だったりしないんですか!?」

「ドクジャナイヨ ネコカノドウブツハ マタタビノニオイヲカグト ヨッパラッテシマウンダ フレンズカシテモ ネコカダトエイキョウガデテシマウンダ」

「…そうだったんですね・・・よかった・・・」

 サーバルちゃんに害が無いとわかりほっと胸をなでおろすと、ママタビの木の下に置いてきたサーバルちゃんの元へ戻ることにした

「サーバルちゃーん!大丈夫ー?」

「あ~カバンちゃ~ん何処行ってたのぉ~一人にしちゃヤダよぉ~うみゃ~…アムアムアム…」

「…まだ酔っ払ってるのかな・・・」

 まだ何処か酔いの見えるサーバルちゃん、マタタビの枝を喰みつつ地面でゴロゴロクネクネしている

「サーバルちゃんあのね、これはマタタビって言うんだって、ネコのフレンズさんはこれを嗅いだりすると酔っ払ってしまうんだって」

「そーなんだぁ」

 わかってるのかわかってないのか分からない反応をするサーバルちゃん

 その顔は相変わらずとろけたままだった

「そうだ!」

 突然サーバルちゃんが叫ぶ

「どうしたの?」

「これちょっと持っていこうよ!みんなにもわけてあげよう!」

「ええー!?!?」

 酔った勢いなのかとんでもない提案をするサーバルちゃんに驚いたカバンちゃんの声が静かな森にこだまし、暖かな春の空の雲行きが怪しくなってきた・・・

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