第20話 入社ではなくて登録とは?

東上はそれからおもむろに喋り始めた。

 「いろいろな派遣会社がありますが、簡単に登録出来るところがいいでしょうな」

その言葉を聞いてなぜ入社ではなくて登録なのかと少し疑問に思ったりしたがとりあえず従ってみることにする。

 「なにぶん、分からないことだらけなのでそれでお願いします」

ここは相手に自分の生殺与奪をあたえてしまうという危険性もあるかも知れないが万が一危険な事態におちいったとしてもその時にまた別の対処法を考えればいいという安易な考えに引きずられてしまう自分がいた。

 「それではざっとめぼしいところでここなんかはどうでしょうかな?一日だけの日雇い派遣もあるようですからな」

 なんと日雇いとは?やはり、先ほども思った通りにそんな雇用形態なら大阪のとある地域で有名な場所があるに違いないがまた違った働き方であろうか?そんな疑問を感じながらも東上の次の言葉を待つことにする。

 「ここはどうでしょうかな?会社名はファィトスッタフと書いてありますな」

首を半分こちらに向けながらなにやらニヤニヤとした表情を浮かべ目はなぜからんらんと光っているような気がした。

 「それで実際にはその会社に出向いて面接を受けなければならないですね」と質問をぶつけてみる。

 「面接と言っても採用不採用と言ったたぐいのものではありませんよ。あなたの顔写真を撮影して登録するための書類をつくるだけですからな」

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