第18話 派遣社員
その派遣社員とはどのようなものだろうか?田沼耕作は疑問に思った。そんな思いをマッドサイエンティストの東上にこの際だからぶつけてみることにした。
「この前、コンビニで就職情報誌を探してみたけど置いてなかったです。他の人たちは特に中途採用ならどうやって職を見つけているのでしょうか?職安もありますが、あれは雇用保険に入っている人が退職した場合に行くところだと、思います。今の私の状況は以前に勤めていた会社そのものが消えているので雇用保険の書類をもらうことすら出来ないです。」
東上は少し薄ら笑いを浮かべるとこう言った。
「なに、そんなに心配することもないですよ。中には履歴書も必要なければ、未経験でも雇ってくれる派遣会社もありますからね」
田沼耕作はその言葉を聞いてピンとくるものがあった。それは日雇い労働という雇用形態ではなかろうかと。特に大阪で有名なとある地域があった筈である。実際に確かめた訳ではないが噂によると経済的社会的に追い込まれた人が逃げ込む場所であり中には高学歴で元弁護士とか元大学教授もいるらしいと言われている。自分も社会的に脱落した分類に入ってしまったのかも知れないがそんな体面にこだわっても生きていけないのは事実である。そこでさらに質問をしてみることにした。
「その派遣社員はどこで募集していますか?」
「パソコンで検索すればいろいろな会社が見つかりますよ。さあ、どうぞ、私のパソコンで今から検索して見るのでここで立ち話をせずに部屋の奥に入って下さい」
言われるままに玄関で靴を脱ぎ東上の部屋に上がり込んだ。壁一面に本棚が並んでいる書斎兼寝室を抜けると奥の部屋に机がありそこにキーボードとモニターが見えた。田沼耕作はパソコンを趣味でやっていた経験があるがそれを使って検索とはどういうことかとまた疑問に思った。
またまた、カルチャーショックを受けることになった。
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