異世界だと思ったら現代日本だった!?
よねちゃん
第1話 夢か現か現実化?
いつもの居酒屋チェーンで遅くまで飲み少し意識が朦朧として来たのでもう今晩はこの辺で帰ろうと、夜道をとぼとぼとアパートまで歩いている時にその現象は起きた。
目の前に黒い霧が現れるとそれに引きずり込まれるような感覚を覚えたが、これは酔っぱらっているので気分が悪いせいではないかと思いとりあえず何か水分補給をしたほうが無難かもしれないと判断して、いつものコンビニエンスストアに寄ることにした。
しかしながら、自分の周りに何やらまとわりつく感覚は消えなかった。
そのコンビニエンスストアにはよく飲んだ後に寄っているので店員とは顔馴染みになっていた。
最悪、倒れても介抱してもらえるという安心感もありそれにすがって店の自動ドアの前にたった。
いつもの深夜時間帯の店の雰囲気だった。そして、これまたやる気のなさそうないつもの若い男性従業員だった。
ある一つのことだけを除いては。
店には頭が金髪でTシャツにジーンズといった背の高い男がいたがどうも挙動不審な風に見えた。
何やら薄い板を片手に持ちそれに向かって話しかけているではないか!
こんな深夜の時間帯なので、まあ、夜勤で仕事をしている人以外はぶらぶらと遊んでいるに違いないのでおそらく碌な人種ではないと思った。
そんなやつと関わりたくないが万が一コンビニ強盗とか店の商品に傷をつけたりするかも知れないと思い僕は顔馴染みのやる気のない男性従業員にとりあえず注意だけはしておいた方がいいと判断した。
「どうも今晩は。深夜勤務も大変ですね。ところであそこに見えている頭が金髪の男が挙動不審ですよ。何やら薄い板に向かって話しかけていますからね」
「は?それのどこが挙動不審なんですか。あなたこそ変ですよ」
「どう見たっても変じゃないですか!あんな薄い板に向かって話しかけているんですよ!」
「あなた、今時、携帯とかスマートフォンを知らないのですか?」
「携帯?スマートファン??」
初めて聞く言葉だった。それが何か質問してもいいが今までの経験からおそらく聞いても真面に答えてもらえなくて嘲笑されて相手にはされないと思われたので別の切り口から尋ねてみることにした。
「嫌だな。知っているに違いないじゃないですか。いつも顔を合わせているのでちょと冗談を言ったでけですよ」
「それならいいですけどね。しかし、からかうのもいい加減にして下さいよ。それに第一僕はあなたのことなんか知らないですよ」
今度は「携帯」とか「スマートフォン」という言葉に続いて自分を追い詰める事態が出現した。一難去ってまた一難ならぬ二度あることは三度あるということわざだか格言みたいである。
とりあえず、ここは苦笑いをして誤魔化すしかないようである。これは学生時代から身についている自分の癖みたいなものである。
そう言えば学校のクラスメイトには馴染むことはなくてあまりというかほとんど話しかけたりすることはなかった。たまにからかい半分で話しかけてくるクラスメイトもいたがそんな時はいつも苦笑いをしていたものだった。
そんな昔のことを思い出しながらそのコンビニエンスストアを後にした。
さて、明日も会社なので今日のことは一晩寝ればきれいさっぱりと忘れてしまうには違いないと思っていた。ついでにミネラルウォーターを買うことも忘れていた。
おんぼろアパートに帰るまでは。
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