夕映えの騎士シリーズ
青谷因
夕映えの騎士の伝承・プロローグ・
"星を真紅に染め上げ、荒ぶる闘志で苦難を退け、未来に突き進む。
伝承を引き継ぎつなぐものたちが今、星の命運を懸け、ひとつになる。"
―そうか・・・彼らが、ついに、あの伝承を呼び起こしたのか・・・。
その一報を受けた青年は、驚きの表情を浮かべるも、直ちに口元を一文字に引き結ぶと。
「・・・残念です」
と、落胆して見せた。
「えっ、何故??」
当たり前とも言える問いかけに、彼は、こう続けた。
「だって、僕が居ないじゃないですか?」
そしてニヤリと。いたずらっぽく笑うのだった。
彼にとっての故郷ではないが、懐かしい数々の思い出を持つその星には、いくつかの伝承があった。
そのひとつが“夕映えの騎士たち”と呼ばれるもので。
過去、幾度かの惑星の危機に際して、救いの道が開かれる予兆として現れる、この星独自の天体現象であった。
しかし、その要因は未だ、科学的根拠を持っては解明されずにいた。
皆が知る、昔話には、このように記されている。
『ほしのたみが こころひとつ たましいひとつになるとき すくいのきしがあらわれて ほしをあかくそめあげて みらいにみちびくだろう』
これまで数々の困難を乗り越えて、星は発展し、安定してきた。
再びこの平穏な日々が、脅かされようとしていた矢先。
青年は、この星を離れる決断をしたのだった。
『逃げる』ためではなく『立ち向かう』ために。
―もっと見聞を広め、力をつけて・・・
来るべき、次代のために。
恐らく彼も、再びこの地を訪れることになるのだろう。
七度目の、伝承の奇跡の瞬間を。
今は遠い彼の地で、祈りながら。
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