暁ノ空

秋之

くそ上司。




「ただいまー。」


パンプスを脱ぎ捨て

髪を結っていたゴムをすぐとる。

鞄を廊下に投げ捨てリビングへと向かう。


まじあの人ってば、人使い荒いんだよな..

くそ...


連日の残業でへとへとなのに、

急に連絡をよこした上司に呼ばれ、なぜか終わりがけの飲み会に参加し、そのまま上司を送ることとなった。


ただでさえくそ多い残業。

その連日の残業を増やしているやつ。


上司のシワ寄せがこっち来てるんだってことまじで気づけよ。


あーーーーーーー!!!!

医者になんてなるもんじゃねー!!!


いやだいやだって言ってんのに。

【お前の評価どうなってもいいのか】

って。女だからって甘く見すぎだろこのクソが。


ほかの奴も私に押し付けやがって..

張り付けた笑顔も最終的にはバキバキにはがれていたけれど。

上司が勤め先の院長の息子でなければひっぱたいて言っているところだ。


大学の奨学の関係であと数年この病院に勤めないといけないとかww


まじ笑えないんですけど。



冷蔵庫を開け、一番上の発泡酒を手に取りプルタブを持ち上げた。


同時に子気味良い空気の抜ける音がした。

プシュウウ!!


そのまま口を付けると思いっきり嚥下する。

ゴクゴクゴク...!!!


っくーーーー!!


あーーーー!!!いらいらする!!!



そんな毒を吐き、発泡酒片手にバルコニーに出る。


ポケットに手を突っ込むと。

慣れた様子で煙草を口に咥え、とライターで火をつける。

くゆらせた煙がふわふわゆらゆら空に昇っていくのを見つめる。


あーああ。

もうめんどくさいなあ。


そう思いつつ 紫煙を吐き出す。

先程毒付いた言葉と一緒に煙も吐き出て行っているようで幾分かすっきりとする。







なんだかなあ..


医者ってこんなだったかなあ..



めんどくさ。









そういって一服してしばらくした後いつものようにシャワーを浴び、身体を拭くと、そのままベットに転がった。






寒い冬だったはずなのに、

とてもそうは思えない程あたたかな温度に包まれ背中から底なし沼に落ちて、溶けていくような、


そんな不思議な感覚だった。

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