けもフレSSコンテストに出す予定だった物
破狼
第1話 最初の出会い
「ん......」
キタキツネは目を開けると知らない世界にいた。
「ここ...どこだろう...」
いつもの雪景色と違って周りは緑豊かな自然に囲まれ、様々な木や花が咲き乱れていた。
―綺麗だった。
その一言に尽きるくらい、綺麗で美しいモノだった。少しその景色に魅入られていた。そこへ
「おーい。だいじょうぶかー!」
声がする。その声の方を見ると、こちらに駆け寄ってくる二つの人影が見えた。
「お前、大丈夫なのか!痛いところとかないのかー!」
「アライさん。そんなに質問攻めにしたら彼女も困っちゃうじゃないか。あ、キミ、大丈夫?倒れていたみたいだけど。」
騒がしい方はアライさんというらしい。なるほど、倒れていたのか。などと冷静に考え事をしてると。
「お、おい、大丈夫なのか?喋れるか?」
「大丈夫ー?言葉、わかる?」
どうやら喋らずにいたからか心配してくれたらしい。
「あ、えと...だ、だいじょう、ぶ?」
「えー。いや、わたしに聞かれてもなー。」
それもそうだ。
「あ、そうだね。大丈夫。なんともないよ。」
「そうか!それはよかったのだ!ところで、お前は何で倒れていたんだ?」
なんで?そういえば、なんでだろう。そもそもここがどこなのかもわからない。というか、自分の身になにがあったのかもわからないのだ。
「あ、あの..」
「アライさんさー。」
遮られた...
「なんなのだ?」
「アライさん。まだやることがあるじゃないのー?」
「?」
ん?やること?なんだろう。
「はぁ。まったくアライさんときたらー...自己紹介だよ。自己紹介。わたしはフェネック。こっちはアライグマのアライさん。」
「あ、そういえばまだだったのだー。アライさんなのだ。お前の名前は何なのだー?」
「ぼく?ぼくは、キタキツネ。よろしく。」
「よろしくなのだー」
「よろしくー」
フェネックと、アライグマ...アライさんか。二人ともいい人そうなのが伺えるが、アライさんはちょっと騒がしい...
「で、なんで倒れていたのだ?」
「そうだね。なにかあったのかい?」
そうだ、まず自分の状況を整理しなくちゃ。とりあえず二人にも相談しよう。
「その前に、ここはどこ?」
「「え?」」
ぼくは、自分がわかる範囲のことを話した。といってもそんなにない。今まで自分がいた場所。気がついたらここにいたこと。それくらいしかない。
とりあえずわかったことは、ここは【妖精と草花の楽園 クツネ森】ということ。ゆきやまちほーという名前の場所はないということ。フレンズと言う概念がないこと。つまるところ異世界というやつだろう。
「う~ん...雪がある場所なんてこの近くにはないし、そもそも『ちほー』や『フレンズ』なんていうのは知らないなー。」
「こまったな...どうしよう...」
「とりあえず、お前のステータスを教えて欲しいのだ。」
「そうだね。ステータス見ればなにかわかるかもしれないねぇ。」
ステータス?なんのこと?と、考えているとどこからともなく紙が現れた。えっと...これがステータスかな。この世界には魔法みたいなものがあるのかな?
【名前:キタキツネ 職業:ハンター Lv20 HP:98 MP:25 以下省略】
「ハンター、狩人か。へぇーなるほどねぇ。」
「ここのこと知らないのに結構いいレベルなのだ。アライさんのも見せるのだー」
【名前:アライグマ 職業:グラップラー Lv18 HP:119 MP:13 以下省略】
「じゃあわたしもー」
【名前:フェネック 職業:ウィザード Lv21 HP:89 MP:78 以下省略】
自分ではよくわからないが、この三人の中だと普通くらいのステータスみたい。というか、本当に魔法が存在してるよ...えぇ...
「とりあえずキミこれからどうするのー?私たちはそろそろ行かなくちゃならないけどー。宿くらいなら探してあげてもいいよー。」
あ、そうだ。この二人に頼ってばっかりもいられないや。宿を探そうにもそもそも
「でも、お金...持ってない...」
「あ...そうだよねー。んー、アライさーん。どうしようかー?」
「そうなのだ!アライさんたちと一緒に来ればいいのだ!」
「えっ...」
「えっ?い、一緒にって、どこに...?」
「アライさんたちは魔王討伐の途中なのだ!」
話を要約すると、近年この近くの街が魔王の戦略によって苦しめられているから、ここから離れたところにある魔王城へ討伐に行ってくれないかという依頼をこなしに来たらしい。その前にまずその街へより、依頼書を受け取りにきたという。
「つまり、一緒に魔王討伐しようってこと?」
「そうなのだ!」
「えー。大丈夫なのー?この子はこの世界に着たばっかりで右も左もわからないんだよー。それなのに魔王討伐なんて...あと二人きりの旅が(ボソッ」
「最後何か言ったのだ?でも、だからこそなのだ。この世界のことがわからないからこそ、その辺に放置なんてできない。信用を置ける人もいない。じゃあ、アライさんたちで面倒を見るしかないのだ!」
「うーん。それはどうなのさー。あ、キミはどうなの?魔王討伐する?」
「魔王討伐...する。一緒に行きたい!」
「!?」
「おお!!」
答えは既にYESと決まっていた。というか、それ以外ありえない。なぜなら
「だって、ゲームみたいで面白そう!」
「げぇむ?ってなんなのだ?」
「あ、なんでもない忘れて...」
おっと、いけないいけない。また変なこと言っちゃった。
「...そう。」
「ん?フェネックー?どうしたのだ?」
「ふふっ。まあいいや。二人旅はあきらめるよー。アライさんが言うことだもんしかたないよねー。じゃあ、これからよろしくねキタキツネ!」
「えっと、うん。よろしく、フェネック。アライさん。」
「よろしくなのだー!」
こうして、魔王討伐をすることになった。私ことキタキツネ。さてこれからどうなるのかな。
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