タイトルから、なんとなく押井守監督の伝説の映画「立喰師列伝」系かと思ったのですが、あれとはまた違う感じですね。ただ、オチが似ているような気がしました。一番基本となる部分が決定的に欠けているという。
最後の数行で物語の真相が明らかになる短編
から来ました。
まず企画へのご参加ありがとうございます。
"食う"では無く"喰う"と表す事にどういう意味があるのか気になって調べたところ、
"食う"の方は食事を楽しむ、"喰う"の方は生きる為に食べるという意味が含まれているのを知りました。
弱い者は食べられない。立喰者である常連だけが喰らう事の出来るある意味特別な蕎麦。
まさに喰えるか喰えないか、いや生きるか死ぬかの蕎麦をかけた闘い。立ち喰い無頼という題名がそれを物語る。
そんな弱肉強食の戦場とも言える蕎麦屋を営む大将や、大将との掛け合いによって連携プレーを織り成す雪崩さん、そしてその名の通り華麗な名勝負を繰り広げた華麗さんなど魅力的な登場人物が立喰者達を静かながらに引き込んでいく。
しかしながら蕎麦自体は不味いという最後の数行が集団を好まず孤高に生き、あまり多くを語らない立喰者達がどれだけかの蕎麦屋に引き込まれているかを表す唯一の手掛かりとなっている。
この戦場と化した蕎麦屋こそが冒頭に主人公が言っていた"今まで気づかなかった世界"なのではないか。
そんな解釈をしました。
とても洗練された文章でどの言葉を取っても無駄がなく、美しい文章と静かなる戦場の物語というギャップもこの物語の魅力だと思いました。
ところで、蕎麦自体は不味くても天ぷらなどの具材は美味しいのでしょうか?
物語の中では立ち喰い蕎麦新入りの客以外は全員かけ蕎麦以外のものを頼んでいたのでそんな考察も勝手ながらさせて頂きました。
読めば読むほど色々な解釈ができそうな気がする。そんな物語でした。
作者からの返信
守株様
深い考察、有り難うございます。
お礼と言ってはなんですが、続編作りましたので、宜しければご賞味下さい。 (https://kakuyomu.jp/works/1177354054891202755)
オチが!(笑)
自分自身も立喰者になって戦っているみたいに読み進めていたのに、まさかの「蕎麦も出汁も不味い」に大笑いしてしましました。
でも、不味いとわかっていても、毎日蕎麦だと体に触るとわかっていても、頻繁に行きたくなる店ですね。例のアレも気になりますし。他の立ち喰い蕎麦屋も味は残念なんだろうか。
すごく面白かったです!
ドストライクです。あのCMのあの俳優を思わせるお話ありがとうございます。そして、無性に蕎麦がたべたくなりました!