嘘つき

再開したタイリクオオカミに記憶を失った事を告げられ困惑した。それと同時に私が永遠の伴侶だと教えこもうかとも考えたがもしも記憶を取り戻した時に私が嘘をついたことをどう思うのか、それを考えると嘘はつけなかった。そして、タイリクオオカミは私を誘っている。記憶を失う前の関係性を勘違いしているのかもしれないし、今のタイリクオオカミに私が受け入れられたのかもしれない。口が先に「お姉さま、、?」と言ってしまった。タイリクオオカミはこういう事じゃないのかというような態度だ。

大好きなタイリクオオカミを抱ける最大のチャンスが目の前にあるが、すぐに抱けないのには理由がある。私が惚れたのは私を助けたタイリクオオカミで確かに目の前にいるタイリクオオカミはタイリクオオカミだがあの時のタイリクオオカミなのだろうか。というものだ。確かに身体はあのタイリクオオカミで間違いないが、心まで同じなのだろうか。

わからない。

わからなかった。目の前に居る長い間追い求めたタイリクオオカミが私のお姉さまなのかさえ。

わからなくなった私はタイリクオオカミの胸に埋まった。タイリクオオカミは泣く私を包容して、優しく抱いた。

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