タイリクオオカミとイタリアオオカミ

ルー・ガルー

運命

「お姉さま!!!」

その声は可愛らしいものだ、どこか懐かしい気さえする。だが、声の主に見覚えはない。気のせいか。

「私のことかしら?」

なぜお姉さまと呼ばれたのかはわからないが、熱狂的なファンなどなのかもしれない。しかし、そのキャラも容姿も次の作品に使えるほど輝いている。そう思えた。

「どれだけ探したと思っているんですか!」

泣きそうな顔でそう言うと糸が切れたように倒れ込む。一瞬何が起こったのかわからなかった。突然目の前に現れたフレンズが意味不明な事を言って倒れ込んでいるのだ。何が起こったかわかるはずがない。

とりあえずベッドに運ぶ。

服のボタンを外しリボンを緩めて横向きに寝かせた。これは回復体位というものらしい。図書館の資料で読んだものだ。はだけた体を隠すように布団を被せておく。これで回復しなければ寿命だ。が、彼女の顔を観るに満足そうな顔で寝息を立てている、死ぬやつの顔じゃないと確信した。それと同時にその顔は美しいと思い、デッサンを始めた。

デッサンをする手は止まらず気がつくと夜のとばりが降りていた。会心の出来の1枚を額縁に入れ部屋にかけたところで睡魔に襲われる。集中して作業をしたので体力を使ったのだ。一睡しよう。とベットに向かった所でベットに先客がいることを思い出した。しかし、別の部屋に移動するのも面倒だったので、無理やりそのベットに潜り込んだ。

「ま、女の子同士だし問題ないよね。おやすみなさい、見ず知らずの狼さん」

シングルベッドに無理やり2人で寝ようとすると必然的に身体が密着した。それでも元々オオカミはそんなもんだった。むしろ幼い頃を思う出すようだった。母に抱かれているあの頃を。

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