さばんなちほーの日常
@tauryo
第1話
ジャパリパークに数多く存在するちほー、その中の一つにさばんなちほーがある。
さばんなちほーでは日々たくさんのフレンズ達が生活している。これはその中のひとりの物語である。
「うぅ、今日もいい天気です」
「アードウルフ、あなたきのうも私のナワバリで寝ていたのね。まーいいけどー」
シマウマが言った。アードウルフはよくシマウマのナワバリを無断で寝床にしている。シマウマは最初は自分のナワバリに帰る様に言っていたが、繰り返す内に気にならなくなり、以降毎日一緒に寝るほどの仲になった。
「きょ、今日は何か用事はありますかー?」
アードが尋ねる。
「とくにないよー、あの子が来なければねー」
「あの子って?」
「ほらーよくかりごっこしにくる
うみゃみゃみゃみゃー
あー今日も来たみたいだよ」
シマウマは呆れた顔で遠くを眺めている。
「シマウマ!今日もかりごっこ、しよ!」
豹柄のその子は言った。
「き、君は何のフレンズですか?」
「わたし?わたしはサーバルキャットのサーバルだよ!」
「わ、私は」
「シマウマ!かりごっこしようよ!」
アードの自己紹介を遮りサーバルは言った。
「もーしょーがないなー」
シマウマは呆れつつも笑顔でサーバルに答える。
「あぁ…」
アードが喋る前に二人は行ってしまった。今日も二人は夜までかりごっこをするのだろう。何をしようか思案するアードであった。
アードはシマウマがかりごっこに行ってしまい、何をしようかと考えていた。シマウマのナワバリで考えているとそこにカバが来た。
「あらー、シマウマはいないのかしら。」
カバが言う。
「し、シマウマに何か用がありますか?」
「少し聞きたいことがありまして、あなたは何をしていらしているのかしら?」
「今日何をしようかと考えているんですけど何も思いつかなくて…」
アードが答えると、
「たしか今日はじゃんぐるちほーに博士が来ているらしいですわよ、行ってみるのは如何かしら?」
博士とはアフリカオオコノハズクのフレンズで図書館に住んでいると聞いた事がある。博士はとても物知りらしいので一度話を聞いてみたいと思っていた。
「カバさん、教えてくれてあ、ありがとうございます」
「礼はいいのよ、それと最近セルリアンがよくいるらしいから気をつけるのよ。それと…」
カバさんはお節介焼きで有名である。
アードは話を聞きつつじゃんぐるちほーへ向かって行った。
その頃シマウマ達は、
「そういえば、カバが今日聞きたい事があるっていってたなー」
「かりごっこ!うみゃー!」
「まぁ多分あの子はじゃんぐるちほーには行かないだろうから言わなくていいか」
「大きなセルリアンがさばんなちほーの出口にいるって」
アードはじゃんぐるちほーに向かっていた。さばんなちほーとじゃんぐるちほーは隣り合っていて、よくじゃんぐるちほーのフレンズが来ていたのだが最近は余り来ていないと聞いていた。
道中特に何事もなく大きな看板の前まで来た。ここを真っ直ぐ行けばじゃんぐるちほーに行ける。アードは前へ足を進めた。
「gapm#gmpm@m!!!」
「え!?」
奇声を耳にしたアードは前方に巨大なセルリアンがいるのを目にした。
あんな大きなセルリアン、放っておいたら誰かが食べられてしまうかもしれない。
アードは戦うことを決意した。
その頃シマウマ達はかりごっこを終え各ナワバリへ帰っていた。
「アード、何してるんだろー」
シマウマは歩きながら呟いた。
サーバルは木に登りさばんなちほーを見渡していた。すると、いきなり誰かが現れたのを見た。サーバルはかりごっこをしようとそこへ向かって走った。そして、逃げるその子へ飛びついた。
「食べないで下さい!」
「食べないよ!」
これがかばんちゃんとの出会いであった。
アードはセルリアンと対峙して内心逃げ出したかった。一つの失敗で自分が食べられるかもしれない。でも自分が倒さないと他の誰かが食べられてしまう。アードは勇気を振り絞りセルリアンへ向かい爪で攻撃した。
しかし、そのセルリアンは余りにも大きく、虚しくもアードの攻撃は弾かれてしまった。
自分だけではどうすることも出来ないと悟ったアードはせめて助けが来るまで食い止めようと必死で攻撃し続けた。その間セルリアンはアードを飲み込もうとしてきた。最後の力を振り絞りアードは叫び、セルリアンに飲み込まれた。
アードは飲み込まれる最中、もっと他のフレンズ達と仲良く出来たらよかったと思った。サーバルとかりごっこをしたかった。カバともっと話したかった。シマウマとももっと一緒に居たかった。でも、もう叶わない。
それなら、せめて自分の分まで楽しくあって欲しい。そう思いながらアードは意識を失った。
シマウマはアードの帰りをずっと待っていた。しかし、幾日待っても帰っては来ない。
シマウマはアードは自分のナワバリに帰ったのだろうと思うことにし、また変わらぬ日々を過ごしていった。
サーバルとかばんちゃんはかばんちゃんが何のフレンズか調べるために図書館へ向かっていた。すると叫び声が聞こえた。さばんなちほーの出口から聞こえたので急いで向かった。するとそこには巨大なセルリアンが居た。端にはフレンズがセルリアンに食べられたであろう痕が残っていた。
それを見たサーバルは、
「誰かフレンズが食べられたかもしれない…」
そう言った後かばんちゃんやカバと協力しセルリアンを倒した。
それきり食べられたフレンズについて何も考える事はなく図書館へ向かっていった。
アードウルフがセルリアンに食べられた事を知るフレンズは居ない。それがさばんなちほーの日常であるからだ。セルリアンに食べられたフレンズは記憶をなくし元の動物に戻ってしまう。
今日もさばんなちほーではいつもと変わらぬ時が流れている。
さばんなちほーの日常 @tauryo
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