第49話 初陣

 今までの夢のように穏やかな日々の思い出が次々と去来する。

「おい、行くぞ」

「あ、ああ、すまん」

後ろから小突かれ、黒風は慌てて前へ進んだ。

 隊列には何度も加わったのに、今、自分が胸に抱いている想いは、初めてのものだ。そのせいか、まるで初陣のような心持であった。

 初めてなのだ。

 生きて、戻りたい。

 そう思ったのは。

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