第38話 トゥーハンドガンorレールガン
「親父、楽に稼げるやつ、頼む」
「んなもんあるかボケェ!」
さっそく冒険者ギルドでクエストを受けようとするオレ。
しかしながら危険そうなクエストばかりだ。
近くにダンジョンがあるようで数だけは多いのだが。
ふむ、お、これなんかいいんじゃね?
オレは一つのクエストを受ける。
なんでもダンジョン探索に向かう予定が、魔法使いが1人足りないらしい。
魔法使いなら能力は問わないとか。
そうして向かったダンジョン、いきなりそのメンバーに襲われるオレ。
あんの姫様、こんなとこまで手を伸ばしてたのか!
と思ったら、単に魔法使いは魔石を持ってるからそれを奪ってポイッてしてた常習犯だった。
うん、なんか胡散臭いとは思ってたんだ。……ほんとだよ?
とりあえず不殺弾で返り討ちにしたオレだが、帰り道が分かりません。
あいつら逃がさずに道案内させるんだった。
「くっくっく、相変わらずセイジは楽しい事しているよね」
「えっ、若旦那……!?」
「フォルテも居るよ~」
そこへなぜか若旦那が登場。えっ、どうして居るの?
若旦那は王都にすら来ていなかった筈?
「ハルシアが嫌な予感がするって言うからね。こっそりつけていたんだよ」
「セイジは若の大切な駒ですからね。万が一があれば困るでしょう。ほら、さっそく行き詰っていたようですし」
ハルシアさんが若旦那に出来る子アピールをする。
この人ほんと、若旦那の前だと猫被ってるな。うぉっと、オレはちくりませんよ? 大丈夫、大丈夫っス。
オレはハルシアさんの鋭い目つきに両手をあげて無害アピールをする。
「それで、どうしてダンジョンなんかに来てるんだい?」
オレは姫様とのやりとりを説明する。
「あの姫様が? まさかぁ?」
ハルシアさんに目で合図する。しかし、口をチャックする素振りをして助けてくれない。
現場を見せた訳でもないのに王家の悪口を言うのはまずいらしい。
たぶん、今も誰かに見張られているということだろう。
相手が王族では、貴族さんも大変ですなあ。
「しかし、セイジがそんな嘘をつくとも思えないしな……」
若旦那は考え込む素振りを見せる。
「とにかく、その、れべるあっぷ? とやらをすれば、対抗手段が身につくんだよな」
「うすっ」
「仕方ない、僕達も付き合おう」
さすが若旦那! 話が分かる!
『装填・焼夷弾!』
フォルテが索敵してきた場所へ焼夷弾をぶち込む。
場所が明るくなったとこへ、
『ブリザードアロー!』
『ストームフォース!』
若旦那とハルシアさんの魔法が炸裂。
だいたいそれで敵が蒸発する。あれ? これレベル上がるんだろうか? いや、一応、焼夷弾で燃やしているし?
◇◆◇◆◇◆◇◆
―――プイッ!
少女はそっぽを向いたかと思うと、顔を仮面で隠した護衛の男性の後ろに逃げ込む。
手を伸ばした状態で硬直している王太子殿下。
「少しくらいは触らせてくれても良いと思うのだがな」
「まるで懐かない子猫のようですわね」
その様子を見ながら妹姫はクスクス笑っている。
「そこの護衛さん、いくらで買収されますか?」
妹姫は少女の護衛に向かって問いかける。
少女はびっくりした顔をしたあと、不安そうな目を護衛の男性に向ける。
「私はお嬢様の僕ですので、お嬢様の御心のままに」
それを聞いて鼻の穴を大きく膨らませてフンスッと胸を張る少女。
護衛の男性はそれを見て苦笑する。
(お嬢様はお嬢様でも、あなたの事ではないんだが。しかしま、これも仕事ですから全力で守らせてもらいやすがね)
護衛の男性はポンポンと少女の頭に手を乗せる。
「ほんと、からかいがいのある……」
そこへ1人の女性が妹姫に耳打ちしてくる。
「そう、ダンジョンに……ちょうどいいわね。お兄様、わたくし本日はこれで失礼致しますわ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「それが、れべるあっぷ? というものなのかね?」
半透明なウインドウを見て唸っているオレに若旦那が問いかけてくる。
「何か見たこともない字? が描かれていますわね」
「すご~い! なんか綺麗!」
あれから数時間ダンジョンに潜っていただろうか? ようやくオレの銃が輝き始めた。
やはりあのスケルトンドラゴンは結構な経験値だったようで、比較的早目のレベルアップでござる。
で、オレは何を見て唸っているかというと、
『LevelUp! 以下のグレードを選択できます』
グレードA:トゥーハンドガン
グレードB:レールガン
究極の選択である。
トゥーハンドガンってあれだよな、右と左の両方の手に一丁ずつのハンドガンを持って。
かっこよさそうだ!
だがしかし、片手で撃って的に当たるものなんだろうか?
いやでも、単純に攻撃力が倍になるんだろ? 数撃ちゃあたらね?
あれか、攻撃力倍増、命中率半減みたいな?
レールガン……こっちはすごく不安だ。
いまだ実用化されていない物で、実用化されると、とんでもない威力が出るといわれている。
そのスピードはマッハを超え、着弾と同時に凄まじい衝撃が発生する、らしい。
なんせ実用化されてないものだからなあ。大丈夫かなあ。
無難にトゥーハンドガンにしとくか? いやでも、レールガンも凄い威力かもしれないし。
どうかなあ……
もうひとつ不安もアル。
今回、ネタルートが無い。
つ~ことはだ、一件まともそうに見えるこの二つ、どちらかがネタの可能性がある。
となると、やはりレールガンはネタである可能性が高い……だが、あの女神だしなあ。
なんか詳細な説明でもないかな。ん、なんか隅っこに小さなボタンのようなものが。
『グレードC:バナナが選択されました』
えっ!?
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