子持ち就活!
紅葉
第1話 会社は倒産しました
「聞きました? 倒産するみたいだって」
ポーンと入ったLINE。
差出人は会社の先輩だった。正しくは会社の元先輩。
先輩は私が育休中に退職されていたが、地元が同じという事で仲良くしてもらっていた。
そんな先輩から来たLINEが上記の内容だった。
どうやら会社が倒産したらしい。
「まじすか……」
寝返りでコロコロ転がっている子どもに目を光らせつつ、返事をした。
そしてしばらく考えて気付く。
「え? 倒産? 私、聞いてないけど」
よくある話で朝会社に行くと張り紙がして会って「倒産しました」と書かれているというのがあるが、私の場合、自分の勤める会社が倒産したというのは元円牌からの情報で知ることになった。
会社からは一言もそんな話は聞いてなかった。
こんなことってある?
人から自分の会社の倒産を教えてもらうなんてこと、ある?
「とりあえず、連絡した方がいいよ」
「ですね。ありがとうございます」
元先輩曰く、この情報は現役社員からの悲痛なLINEで知ったらしい。
LINE便利。超便利。
とりあえず、私は子どもを抱っこしながら会社に電話を掛けた。
いつも通り、ワンコールでパートの人が出る。
「はい。××です」
「お疲れ様です。卯月です。取締役います?」
「……代わります」
パートの人も気付いていたんだろう。
なぜ私が電話してきたのか。
すぐに取り次いでもらい、元先輩から聞いたとおりのことを話す。
「……書類をお送りします」
取締役は直接的に「倒産した」と明言はしなかったが、書類を送るという言葉がすべてを物語っていた。
この時点で子どもはもう生後半年はとっくに超えていた。
「保育園落ちた。日本死ね!」で有名なとおり、私の地区でも保育園は激戦だ。
そんな中、五年勤めてきた作り上げた実績を武器に保育園入園を勝ち取り、あとはもう会社復帰を待つだけという状態だった。
「……ふざけるなよ」
あまり子どもの前で乱暴な言葉を使うのは良くない。
例えそれがまだ言葉の意味を理解していない0歳児であっても。
それでも、言わずにはいられなかった。
0歳児を抱え、私は無職になった。
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