Grazie

タカムラ悟蘭

第1話 入学式

「分かったよ由依。協力宜しく」





4月7日、一流高校の入学式。私、花依寧々は見事受験に成功し、今日という日を迎える事が出来た。


「おはよー寧々!やっとこの日が来たんだねぇー!!」


朝からハイテンションで話しかけてくるのは幼馴染の由依。一見バカそうに見えるが、中学では成績トップを争う組に入るかなりの天才。


「まったく高校まで同じってどういうことだよ」


保育園から一度もクラスが分かれた事が無い。これはある意味奇跡なのだろうか。


「やっと遊べる!!彼氏作ろう寧々!!」


ノリノリで私に話しかけてくる。普通の高校生が言うならそれは本気かもしれないが、由依が私に言う恋関連の事は99%冗談に過ぎない。私の近くに居る人間は由依しか私の過去を知らない。


いつも通り無視。いちいち反応するのが面倒になってしまった。

いつもはこれで話題が反れるが今日はもう一歩踏み込んできた。


「寧々。まだ引きずってるの?もうそろそろ前向かないと・・・。ほら!高校ならもうこの事知ってる人居ないんだし踏み切ってみるのもありだとおもうけど。」


「うるさい。ほっといてよ」


どうしてなんだろう。こうやって過去の事を心配してくれる友達はもう由依しか居ないのにいつもこの話題から逃げてしまう。そろそろ・・と頭では分かっているけど心がなかなか動いてくれない。


「わかったよ由依。協力宜しく」


この一言によって由依はとんでもなく驚いた顔をした。まあ無理も無い。小学校卒業以来、ずっと避け続けてきた恋をしようと友達が言ったら驚くわけだ。


「よし!!頑張ろ寧々!!」



こうして私たちは高校は恋をする事を誓い、またもや同じクラスになった2人は、自分達のクラスに向かったのだった。


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