第35話サヨナラ映画館


狂おしい純。



未来は、自分の恋愛で自分を壊すなんて思わなかった。



芸能の仕事にも復帰して今は、映画館の前で純を待っていた。



恋愛映画。



初仕事が恋愛映画だった。



自分の主演している映画を映画館で見返すのは初めてだった。



「ごめん、待った?」


「ううん、わたしも今、来たところ。」



純は、前より痩せていた。



純の事は七海に聞いていた。




失恋したらしい。


振り回されて傷ついて未来の前にいる。



不思議である。 



人間は、愚かな生き物だ。



居なくなれば求める。


映画は、意外と勉強になった。



病気の彼女を支える彼氏…。




実話らしい。


でも、彼氏はすぐに死んだ女の子の友達と結婚したらしい…。



残酷すぎる。



純は、感動して涙を流していた。



飲みに行こうと言う純には用事があると断った。



最初で最後のデートと決めていた。






休日、七海とタバコを吸いながらビールを飲んだ。



七海も女優デビューしていた。



お互い共演者の悪口や噂を話していた。



「ねぇ、本当に良かったの?純の事。」



「こないだ会ってデートしたけどもう好きだった彼じゃないオーラが流れてた。」



「純が、今度は壊れるかもね。」



「壊れてるみたいだよ。何回もメール来たり電話も多いし。」



「自業自得だね。あそこまで未来を追いつめたんだし。」




「自業自得か…。わたしもだよね。」



「それは、わたしが悪かったし…。」



七海は、恋愛に苦しむ未来を見てられなくて危険ドラッグをすすめた。



「気にしなくて良いよ。生まれ変わった気がする。」



それから分きざみでがむしゃらに仕事をした。



そんな中で中年の俳優に惹かれた。



いつも紳士的で役に入ると凄まじい集中力で周りを吸い込む力。


ただ者ではなかった。

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三角関係ー双子 転ぶ @Ken123

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