マーメイドファタール

@tvxv3476

start

|放課後。

走る。「人」一人いなくなった廊下をただただ走る。

どうしてこんな事になっているかは知らない。わからない。

つい前日が懐かしく感じる。

一週間前に出来た彼女と一緒に商店街を歩いた。デートなんてよくわからないし、あれをデートなんて読んでいいのか疑問に思うけれど、それでもどこか暖かいものがあった、と思う。

昨日があんなに平和だったのに。

「こんなゾンビパニックみたいなの、誰も望んじゃいないと思うんだが…ッ!」

最後の授業を最初から熟睡し、気づけば放課後で、静かな教室で一人。やはり一階に教室があるのは便利だ…と思いながらドアを開ければゾンビみたいな唸り声をあげた(おそらくは)同級生が突然襲いかかってきたのが先ほどのこと。持っていた鞄をぶつけておもわず階段を駆け上がった。

ここは二階。多分一階は詰み。三階は不明。そもそも3階もどうなっているかわからない。一階より不味い可能性だってある。

…わからないことばかりだが、三階に行くしかない。一階が詰んでることが確定なら…。

と、

「実琴ー!無事だなー!止まれー!」

「樹⁉︎」

葛根樹かずねいつき。親友。

とりあえずコンピュータ室の所にいる樹の前まで行く。

…思ったより息が切れている、と他人事のように思う。階段も跳ばしていたからか?

「樹も、無事、だったんだな」

「まぁね?とりあえず、ここにからさ、安心して息整えてよ、親友。あ、水いる?」

「…?」

違和感。疑問。

酸欠の頭でもわかる。

何故、今、樹は

「樹、少しいいk」

「実琴、今から聞いてほしい、いや、話さないといけないことがある。お前の疑問の答えもそこにあるから」

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