What is "right"?
碧川亜理沙
序章:はじまり
【超能力】
それは人間の力では不可能とされるようなことができる能力のこと。テレパシー、予知、透視、念動力……。このような特別な力を持つ者たちを、人は「能力者」と呼んだ。
はるか昔から、能力者たちは存在していた。だが彼らが表に出ることはほとんどなかった。当時はそのような特別な力を持つ者は、神として崇められるか、人の子ではないと蔑まれてきたからだ。
しかし今から50年ほど前、ひとりの男が自分は能力者であると大々的にメディアに公表した。それを皮切りに、世界中の能力者たちは次々と表舞台へと姿を現し始めた。ある人は自分の能力を社会に生かし、ある人はその力を己の欲のために使った。
けれどそんな能力者たちを認めない者たちがいた。
科学者や政府の人間だ。
科学で証明のできない能力者たち。彼らの存在を科学者たちは真っ向から否定した。政府も次々と台頭し始める能力者たちに社会的危機を感じた。このままでは、いずれ何の力も持たない一般市民が、能力者たちに支配されてしまうのではないか、と。
特に日本はそれが顕著であった。得体のしれない者たちを、彼らは拒んだのだ。そんな彼らは、能力者たちを排除する方向へと動こうとしていた。そうすることで、一般市民が安全に暮らせるようにと……。
だがそのせいで、能力者たちは肩身の狭い思いをし始めた。自分が能力者である、そう疑われようものなら、政府の作った能力者隔離施設へと連行され、世間と隔離されるのだ。そして研究者たちにより、厳重に管理され、一生をその施設で暮らすことになる。
能力者が表舞台に出たのはほんの数年。すぐに彼らはまた、大衆の中へと息をひそめた。
これは、それから数十年ほど未来のお話――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます