14回目の誕生日を迎える双子の兄が通り魔に襲われ妹を庇い享年14歳・・・・・・のはずが妹に憑依しちゃった。
コタツダイスキ
プロローグ
20XX年某所 中学校
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。
今日も退屈な授業を終えた
普段は部活動のテニス部の部室に向かうところだが、期末テスト期間のため下校が義務付けられていた。
明日は誕生日の為両親と双子の妹、
「勇樹はもう帰るのか?」
勇樹に声を掛けてきたのは、勇樹の親友の
こいつは俺と妹の所謂幼なじみというやつで、性格も良ければ文武両道の女子にはモテモテの男の敵のような奴だった。
まあ、子供のころから常に一緒に過ごしてきて悪い奴ではないことは理解しているが、時々殴りたくなる衝動に駆られてしまう。
「おう、期末前だからな。どこかの頭のいいやつとは違ってこっちは必死なんだよ。お小遣いにも影響してくるからな。」
勇樹は一貴の問いに仏頂面で答えていた。
「いや、普段から勉強しておけばテスト前に困ることはないっていつも言ってるじゃないか。勇樹は勉強すればできるんだから今度由姫ちゃんも一緒に勉強しようよ。」
「ああ、気が向いたらな。」
勇樹は気乗りのしない様子で答えた。
「そういえば、明日は勇樹と由姫ちゃんの誕生日だったね。」
何がそういえばだ、と思った勇樹だったがあえて突っ込まなかった。
「そうだよ。プレゼント楽しみにしてるぜ。」
「わかってるよ。それじゃあ今日は寄っていくところがあるからこれで帰るね。」
「ああ、そうだったな。それじゃあ、また明日なー。」
「うん、由姫ちゃんにもよろしく言っておいてね。」
そう言うと一貴は教室から出て行った。勇樹もそろそろ帰るかと思っていると自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、帰る支度はできた?今日は帰って一緒に勉強するんだから早くしないと。」
「由姫か、わかってるって。そんなに慌てるなよ。」
由姫は勇樹の腕を捕まえると早く行こうとせっついていた。
学校を出た二人は最寄りの駅から電車に乗ると、二駅隣の駅に降りた。
もうすぐ冬休みに入る時期なだけに、だんだんと冷えてきた空気に勇樹は顔を歪ませた。
「そういえば、今日は一貴くんは一緒じゃなかったんだね。」
「うん、あいつは今日は用事があるんだと。」
「そうなんだ。」
特に気にした様子も見せない由姫。
ふと、勇樹は前からやってきた男が気になり視線を移す。
「くそ・・・、みんな俺のことバカにしやがって・・・、見てろよ・・・。」
男がポケットに手を突っ込むとナイフを取り出し、次々と人に襲いかかっていった。
「きゃああああー」
悲鳴を上げながら逃げ惑う人々。勇樹は由姫の腕を掴むと反対方向へと逃げ出した。
「お兄ちゃん・・・。」
不安そうに呼ぶ由姫の声を聞き、勇樹は励ます。
「大丈夫だ。俺がついてる。」
しかし、通り魔の男は勇樹と由姫に狙いを定めると追いかけてきてナイフで由姫を刺そうとした。
「危ない!」
咄嗟に由姫を庇うと男は勇樹の腹を刺してきた。
「ぐああああ」
「お兄ちゃん!」
由姫の悲鳴を聞きながら、勇樹は腹に刺さったナイフを両手で掴みかかると、男からナイフを奪うことに成功する。
(このままじゃ由姫まで殺られてしまう。そんなことはさせない。俺が由姫を護るんだ!)
「うおおおおおお」
勇樹は残った力を振り絞ると、由姫を護るために男に目掛けナイフを突き刺した。
「うわああああ、うぐぅ」
通り魔の男はナイフを刺されると怯えた悲鳴を上げて、力なく地面へと倒れた。
それを確認すると勇樹も地面に倒れ伏してしまう。
「お兄ちゃん、死んじゃやだよ、しっかりして!誰か助けてー!」
「由姫・・・無事か?」
勇樹の目にはもう何も見えなくなっていた。
「お兄ちゃん、私は無事だよ!」
由姫は勇樹はの手を強く握るとそう告げた。
呼吸を荒くした勇樹は最期の言葉を由姫に告げる。
「由姫・・・無事で良かった・・・。母さんと父さんのこと頼むな・・・。」
由姫の握る手から力なく地面へと勇樹の手は落ちていった。
「お兄ちゃん・・・、こんなの嘘よ・・・。いやあああああー!」
由姫は泣き叫ぶと勇樹の体にしがみつき、やがて意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます