じっくり読み込める長編SF小説です。
ざっと流し読みしちゃったらもったいない。2話までは序章で、3話目からが物語のスタート。そして面白くなるのは、主人公のアイデンティティーをひっくり返す出来事から。自分を否定する存在。崩れていく自分自身の存在。知らない、けれど、どこか繋がりのある文明。そもそもこの世界とは、人間とは何なのか――。不安を踏み締めながら、自分自身の謎解きをしていく主人公は、脆くて強くて格好いい。
ファンタジー要素もあるけれど、浮わついた感じはなくて、話の軸はどちらかというと硬派なSFっぽい。この先の話の展開が、楽しみです。