東京大学を受けようとした俺が迷い込んだのはとんでもない学部だった件

デデンネ齊

第1話

この物語は俺が東京大学に受験した時の物語である。



俺はかねてから東京大学の理科一類に入りたいと思っていたのだ。

東大は理科と文科それぞれ一類から三類までの科類がある。そして願書を書く時に好きな学部が指定できる。

願書には何の記入漏れがないはずだった。だが……




「東京大学理科4類だって? 聞いたことないぞ」


そう届いた受験票には存在しないはずの学部、理科四類の名前が書かれていたのだ。



「嘘だろ…… 俺は確かに理科1類と書いたはずなのに」


もちろん俺は親に相談した、だが親も


「一応受験会場に行った方がいいんじゃないの」


とのことだった。

まあもっともだ、そんな学部は存在しないのだから試験当日にとりあえず行って新しい受験票を交付してもらうべきだろうと思った。

そして、理科一類の新しい願書を交付してもらえば受かる。

俺はきちんと受験できれば受かる、その自信があったのだ。



その日の夜


「地下コロッセオキャンパス?」


一つ上の第の東大へ行った先輩へ電話をかけたが、どうやら試験会場のキャンパスのことを知ってる人は誰もいないようだった。


「とにかくそこが俺の受験会場なんですよ」


「そうは言ってもねぇ…… 受験票には試験会場への行き方が書いてあるだろ」


先輩の電話はそう言うと切れた……


仕方ない、地図を見て試験会場に行こう。そう思った。


しかし今考えればこの対応は誤りだったのだろう。



そして月日は流れ、試験当日になった、俺はなんとか地図の通りに試験会場のビルににたどり着いた。


「このビルが東大のキャンパスなのか……!?」


俺は訝しいがりながらもビルに入り、そして階段降りていった。

地下コロッセオキャンパスというくらいだ、地下にあるのだろう。


その時、後ろから何者かが走って降りてくるのが聞こえた。

もしかして俺以外にも間違えて理科四類の受験票が届いた人がいるのだろうか?


「すみません、あなたももしかして」


そう言い終わらぬうちに俺の声を遮るようにして後ろにいる者が声をかけた。


「お前何者だ?」


「えっ……」


「迷い込んだものか? なら引き返せ、ここから先はお前みたいな人間がいていい場所ではない」


警告するような、強い敵意のこもった声だ。


「何を言うんですか、俺はただ受験票にミスがあったんで新しい受験票を」


言い終わらぬ内に背後から気配が消えた。振り返ると何もいなかった。



「何なんだよこれ」


俺は少しの恐ろしさを感じながら階段を降りた先にあった扉を開けた。すると


周りには既に多くの受験生がいた。

皆、俺と同じくらいの年齢のどこにでもいそうな人間だ。

ただ一つ違うのは……



「さあ最後の受験者が来ました。ルール説明を始めましょう」


真ん中に立っていた試験監督風の男が言う。


「そんなことよりもうおっぱじめようぜ、ルールは分かってんだ。 ねえ兄者」


「待て弟者、ルールは大事だ。 いくら俺たち無敵のカンザス兄弟といえどもルール違反で失格になってしまえば勿体ないからな」


「オラの斧で首をはねたい」


「クックックッ今年の試験も始まりましたか。 計算によると私が合格する確率は84.6%全ては計算通りです」


「血気盛んな男達ばっかりで嫌になっちゃうねぇ」



周りの受験生は口々に喋り出す。


彼らが世間一般の受験生と違うのは彼ら全員が手に武器を、人を殺すための殺意を宿していることだった。



「そうですね。 ルールは例年通りです、皆さん『過去問』や『模試』をやってるから分かりますよね」


「受験者数は346人、最後の100人になるまで競いあってください。 ではこれより東京大学理科死類殺人学部の試験開始」


試験監督は叫ぶと同時に周りの受験生達は雄叫びをあげた。


俺はどうなってしまうのか。

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