第30話

 なんとなく気まずい雰囲気を紛らわせようと僕らは次から次へと袋を開けた。とにかく花火はどっさりあった。そしてどんどん火をつけてはふり回し、飽きればそれを屋上の外へと捨てた。こうしているうちに、僕らはすぐに先ほどの元気を取り戻し、またみんなで楽しく花火をやった。

 「オレこれ手に持ってやーろうっと!」

 英ちゃんは20連発のぶっとい花火を手に持って発射した。本当は地面において打ち上げるタイプのやつだ。筒の横には思いっきり

“危険!手に持ってやってはいけません”

 と書いてあったが、英ちゃんはお構いなしだった。

 火をつけると、ぽん、ぽん、ぽおん、と赤や緑、青や紫色の火の玉が次々と筒の先から飛び出した。英ちゃんは最初、カッコに向けて撃ったりして悪ふざけをしていた。でも、10発目を越えたあたりからさすがに限界なのか

 「うわあっつい!クショババ!」

 と叫んでとうとうそれを駐車場に放り投げた。英ちゃんはゲラゲラ笑っていた。投げられた花火はクルクル回りながら、カラフルな光のかたまりをあちこちに向けてまきちらした。

 本当にここは何をしても、自由だ。

 ドラゴン花火を十個いっぺんにつけたときはすごかった。むかし、どこかの花火大会で「ナイアガラ」っていう火花の滝のような花火をみたことがあったのを思い出した。それと同じように、ドラゴン十連発はまるで火花のカベのようだったんだ。僕らはもうみんなうっとりとなってそれを見た。

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