番外編 サイド 柳舞の場合 第2話
「それでは舞さん、こちらをお受け取りください。そして、ご自身のステータスの確認をお願いします。ステータスと唱えてみてください。」
そうメーナスが言い「月光」を差し出すので、舞は刀を受け取ると「ステータス」と唱えることにした。
柳舞 人間 18歳 異世界人
能力値
○力S++ ○魔力unknown ○俊敏S+++ ○賢さS+++ ○生命力S++ ○魔法防御S+++
装備
○神刀「月光」
特殊技能
○気闘陣(
異能
???
○気闘陣(極)・・・気闘陣の完成形。各ステータスを四段階上昇させる。気力の消費も極限まで抑えられている。
「これは、どの程度と見ればいいの?」
ステータスを確認した舞は、メーナスに問い掛ける。舞のステータスを見たメーナスは、目を見開きながら舞に答えた。
「これは凄まじいですね。ステータスだけなら、過去の勇者をすでに越えているほどです。この世界では、ステータスの上限はS+++とされていますが、実はその上のランクEXが存在しています。魔王のステータスは、その部類に位置付けられていますが、舞さんの魔力はそれすらも超えて、規格外中の規格外になっております。失礼ですが、本当に人間ですか?」
随分と失礼なことを言われ流石にムッとなる舞だったが、地球に居たときには身体能力は人間の範疇には収まっていたはずであった。
その疑問をメーナスにぶつけると、次のような説明がされた。
「あなた方が住んでいる世界は、この世界よりも高次の世界となっています。地球からこちらに来たときには、その存在力の差から能力が上昇されるのです。ここまでの能力は初めて見ましたが。」
続いて異能について尋ねると、異能の力は異世界人がこの世界に来るときにランダムに覚醒するもので、その人の資質に合わせたものが発現するらしかった。
早速発現させようと意識を集中する舞。すると全身より光が溢れ出し始めた。
異能
○
○鷹の目・・・既知の人物の気力、魔力を元に上空から観察することができる。また、既知の場所についても同様に観察が可能。結界などの妨害がある場合、魔力差によりレジストされることがある。(ただし、竜人の場合は如何なる場合もレジストされない。)
(何よこの能力、失礼ね。普通にホークアイでいいでしょう。まあ便利だから使うけど。)
早速鷹の目を使う舞は、視線が空へと移り上空を飛んでいるような感覚になる。下を見ると、男が刀を手に巨大なオオカミの群れと戦闘している場面に出くわす。
(竜人! 良かった、無事だったのね。)
流石に神の言葉であろうが、自分で直接確認できるまでは不安があった舞は安堵する。
オオカミとの戦闘は、終始竜人に優勢で進められていた。やがてオオカミたちが逃走を始めると、竜人は剥ぎ取りをしてからその場を後にしていた。
(う~ん、生き残りを始末しないなんて少し詰が甘いかな。殺れるときには確実に殺っとかないと、いつ足元を掬われるか分からないのに。まあ、今は及第点と言ったところかな?)
その後もしばらく様子を観察したが、どうやら大丈夫のようだと確認して能力を解除する。
「うん、これはなかなか便利なものね。」
いきなりの能力発現と発動に半ば呆れたように見ていたメーナスだったが、気を取り直して残りの説明をすることにした。
「残りは魔法と神刀「月光」についてです。まずこの世界には地・水・火・風・光・闇・時空の七属性が存在しています。」
そう言うと、メーナスは順番に各属性の魔法を発動させていた。
「そして、神刀「月光」は武器であると同時に魔法の発動を補助する能力があります。今現在は力をほとんど失い封印状態となっていますが、封印が解かれたならば魔王を倒す力が戻るでしょう。」
舞はメーナスの魔法の発動を観察していた。そして徐に「月光」へと魔力を通すと、次々と属性を切り替えていった。
「成る程、
舞はそう言うと、魔力を極限まで「月光」へと込め始める。
○神刀「月光」封印・・・力が封印された状態の月光。曾て勇者が魔王討伐に使用した二対のうちの一本。
攻撃力300 魔力400
○封印・・・本来の能力が封じられた状態。
○破壊不能・・・神の加護により破壊されない。
○進化・・・敵を倒すごとに成長し攻撃力、魔力を増す。
→○神刀「月光」・・・封印が解かれ本来の力を取り戻した状態。
攻撃力8000 魔力15000
柳舞
特殊技能
○
・
・
・
・
・
・
・
○時空魔法
・無限収納・・・魔法で異空間を造り出し、時間の止まった空間に生命のあるもの以外を収納できる。
・空間転移・・・既知の場所に転移できる。結界などによりレジストされることもある。
これが、舞の天才と呼ばれている所以である。一度見たものを理解し、直ぐに応用することができる。一を聞いて十を知り百を行うであった。
「ふう~、こんなところかな。」
舞は、ステータスを確認すると一息つくようにそう呟いた。その様子をメーナスは、今度こそ呆然と見つめていた。
「こんなことあり得ない、どうして封印がもう解かれているの。それに、魔法をこんなに簡単に使いこなすなんて!」
「細かいことはいいじゃない。それよりも、説明はこれで終わりなの?」
「・・・分かりました、もう諦めました。今の舞さんならば、たとえ魔王が復活しても簡単に倒せるでしょう。」
「あら、私は魔王なんて倒さないわよ。」
「はい~?」
だんだん壊れ始めた神(笑)メーナス。
「だって、私が倒しちゃったら折角の竜人の成長の機会を奪ってしまうじゃない。」
世界の滅亡事案すら、舞にとっては関係がない。全ては竜人中心に回っているのだ。
開いた口が塞がらない様子のメーナスは、放心状態になってしまった。
(取り敢えず、魔王復活を企んでいる連中を見つけて背後を洗わないとね。
いきなり竜人の手に負えない相手とは当たらないように調整して、徐々に強い相手と闘えるように仕向けないといけないし。)
「大丈夫よ。もし、本当に竜人の手に負えないときは私が片をつけるから。」
「本当にお願いしますよ。」
懇願するメーナスに、舞は了承するように手を上げると、取り敢えずメーナスに近くの町を教えてもらい旅立ち始める。
(さてと、折角の異世界何だから私も楽しませてもらわないとね。まずは、腕ならしに魔物を適当に狩ってお金を稼ぐとしますか。)
こうして柳舞の冒険は始まった。これから先どんな冒険が待っているのか、それは作者にもわからない。
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