プロローグ
プロローグ
群馬県某所駅前にて~
「なあ竜人、明日休みだし久しぶりにゲーセン行かねえ? お前んちのじーちゃん今旅行に行って居ないんだろ?」
「ああ、ばーちゃんと一緒に北海道に旅行に行ってて居ないから別にいいけど、いきなりどうしたんだよ隆司?」
「明日新作の格ゲーが入るんだよ。お前武器使った格ゲー好きだろ」
「それじゃ、朝の鍛練があるから駅前10時集合でいいかな?」
「オッケー、じゃあまた明日なー」
そう言う隆司が自転車に乗って帰って行くのを見送り、俺は改札口に向かって行った。
俺の名前は、
家族は両親、祖父母、姉と俺の6人家族で、父は公務員、母は専業主婦、姉が一つ上の高校3年生だ。
道場は特に門下生が居るわけではなく(というか鍛練の内容が危なすぎて世間にばれるといろいろとやばいので)、家族内での伝承を行っている。
内容は、刀・槍・弓・暗器・格闘とどんな状況でも闘えるよう手段は選ばない。
さらには、奥義として体内の気を自在に操り脳のリミッターを解除することで常人ではなし得ない動きもできるという、極めて危険な流派である。
俺は小学3年の頃から鍛練を行い、特に刀での戦闘を得意としている。
「ただいま~」
俺は、家の門をくぐるとそう声をかけ道場の方へと向かった。道場の入り口に着くと中から誰かの気配が感じられた。
扉に手をかけ開くと、中には黒髪が肩口まで伸びている美しい少女が佇んでいた。
「ねーちゃん、もう帰ってたんだ?ねーちゃんがこの時間に道場にいるなんて珍しいね。」
「竜人お帰りなさい。なんだか気付いたら道場の方に足が向いていてね。そうだ竜人、久しぶりに手合わせでもしない?」
「まじで?ねーちゃんとの手合わせはすごく久しぶりだなー。じゃあ、部屋に行って荷物置いてくるからちょっとまってて。」
俺はそう言い部屋へと駆け出していくと後ろから姉の声が聞こえてくる。
「そんなに慌てなくていいからゆっくり行きなさい。」
と姉の声が響いていた。
彼女の名前は柳舞(やなぎまい)。我が姉、才色兼備にして最も尊敬している存在である。
彼女は所謂天才と呼ばれる人種である。文武両道であらゆる事に対して人並み以上のことが出来てしまえる。
そんな事を聞けば他人からはどうして卑屈にならないのかと言われるかもしれないが、俺は姉を心から尊敬している(ちなみにシスコンでは断じてない、ただ姉のことが大好きなだけだ! 異議は認めん)。
あれは小学3年の時、姉や友達たちと一緒に山へと遊びに行ったときのこと。昼食を食べていると野犬の群れに襲われた。
俺を含めた皆は身動きとれずに泣いていただけだったが、姉が一人野犬たちに対峙して見事追い払ってくれたのだった。
その時の美しい姿が今でも目に焼き付いている。
あの事件からしばらくの間、友達たちは姉との間で関係がギクシャクしていた。
子供ながらにあの強さを目にしてどう関わればいいのか分からなかったのが本心だったと今にしては思うのだか、その時の俺は恩知らずだと憤慨していたものだった。
だが姉はそんな事は歯牙にもかけずに日々を過ごしていた。
俺はそんな姉を誇りに思うと共に、姉に並び立ちたいとの想いで直ぐに祖父に修練をお願いし、毎日欠かさずに過ごしてきた。
しかし、姉との修練は其から数えても直接的なものは両手で数えきれるほどしか行っていなかった。
今日はそんな姉と久々の手合わせに心を踊らせると、鞄をベッドへと投げると直ぐに運動着に着替え道場へと駆け出した。
玄関を出ると途端に急な耳鳴りに思わず耳を押さえるはめになる。
「なんだよこれ」
辺りを見回すと道場の方から激しい光がこぼれていた。瞬間胸騒ぎを感じ駆け出す。
「ねーちゃん!」
俺は叫びながら道場の入口を開けると、光に包まれた姉が消えていくのが目に入った。
その時のこのままでは一生姉に会えないとの直感が働き、姉に向かって駆け出す。
「竜人来ちゃ駄目!!」
姉のそんな叫びが聞こえるが、例え姉の願いでもそれだけは聞けなかった。
消え行く姉に向って体内の気を全力で解放すると姉を捕まえようと飛び付いた。
その瞬間「嘘・・・・・・」
誰かわからない声が聞こえたかと思うと光に包まれ意識を失った。
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