第5話 番外編、天空の城ラピュタ
野上鉄太郎教授
「さて…『これ、本じゃなくてアニメだろ!』
という受講生のツッコミ大歓迎の本講である。今回は700年前に天上に君臨してた筈なのに理由不明で滅亡した超大国、ラピュタの真相に迫る。って、俺もワクワクするぜー!フゥゥー!」
とレジュメを宙に放り投げ、舞い散った紙を拾う学生たち。
尚、本講は特別に質疑応答形式である。
1・天空の城ラピュタ概要。
この話は炭鉱のボイラーで働く少年パズーが光る飛行石の力で降下してきた女の子、シータを受け止めたことでなし崩し的に情報将校ムスカが率いる軍、盗賊ドーラ一家に追われる身となり天空にあったとされる伝説の城、ラピュタを目指す、ストーリーが王道な冒険活劇である。
2・ラピュタは何故、「天空」に建国されたのか?
それは政治的軍事的には雲に隠れていた方が陸から攻撃されにくいし、配下に置いた陸の国の誰かが謀反心を起こして兵、武器、弾薬、ミサイル等を集めていないか、等いつも観察出来るし、遠い昔にラピュタの雷で焼き尽くされたソドムとゴモラという街も、
これは推論だが滅ぼされた理由は風紀の乱れからではなく、武装蜂起してラピュタ王家に謀反を起こしたので、
それが、
最初からこんな奴らなどいなければいいのだ。という位ラピュタ王の怒りを買ったので、
本当に国土ごと焼き尽されて地球の歴史からも抹殺されてしまったのだろう。
3・ラピュタ王家は女王制だった?
飛行石のペンダント。それはシータの家が代々隠し持っていた正統なラピュタ王の証。
「この石は暖炉の穴にいつも隠してあって、お母さんもおばあさんもそのおばあさんさえも結婚式の時にしか付けなかったの」
というシータのセリフに…
おい待てよ。男の子には呪文も飛行石も伝えずに700年間も女の子にだけ伝えてたのか?と疑問に思った視聴者さんも少なからずいたであろう。
シータの本名が
ルシータ・トゥエル・ウル・ラピュタ(ラピュタの正統な王)
なのに対してムスカの本名が
ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ラピュタの傍系の王)
なんだから継承名からして正統な王は代々女性で、王族の男は女王を補佐する摂政か、女王が次代の王女を産むまで子種提供者として一時的な夫にさせられた、雄蜂みたいな役割だったのであろう。
4・んで、ムスカって何がしたかったの?
以下、筆者の独断に満ちた文である。
「それは、世界のアニメ界を私にひざまずかせるためさ」(声優、寺田農)
天空の城ジブリのパロ・ウル(世間向けの作品を作る稼ぎ手のクリエイター)であるM監督が物語の第一敲
「少年ムスカの『いつかラピュタの王になる!』という野望の物語」をジブリのトゥエル・ウルT監督に(作りたい作品しか作らない実質トップクリエーター)に…
「そんな話売れないよ」と一蹴されて少年少女の冒険活劇に書き直された苦い屈辱と、いつか世界のアニメ界の王、
トゥエル・ウル・アニマになる!
という圧の強すぎる野心を手書きの分身であるムスカ大佐に己が魂を込め、
「(子供向けのアニメは)バカどもにはちょうどいい目くらましだ」とか
「ほう、あっはっは、見ろ人がゴミのようだ!はっはっはっは…」など
お子様が視るアニメでそれ言っていいのか?な位どす黒い本音を喋らせるという…
監督の分身そのものだからムスカ大佐のキャラ立ちは強烈で、他のジブリキャラよりも長くカルト的な人気を誇っているのである。
5・ある意味ラピュタは神がかっている。
結局、パロ・ウルはパズー&シータ(次世代の視聴者たち)に滅びの呪文
「天気の子!」
や
「おそ松さん!」
とか
「今はプロの声優の方が数字を稼ぐ!」
と唱えられ、
「目が、目が…世相を見る目がぁ!」
と叫びながら強烈な光で視力を奪われてゴミのように落下していくのだが…
この天空の城ラピュタというアニメは最後、飛行石を絡めとったまま衛星として孤独に浮遊する一本の木として永遠に地球軌道を回り続ける。地球はまわる。
この孤独な大木は、若手のアニメーターたちに去られたジブリの…今の姿を30年以上も前に予知した姿なのではないか?
と筆者は推測するのである。
6・ラピュタ滅亡の理由は?
内乱でしょう。
オープニング映像はラピュタの隆興から滅亡までという絵巻物のような映像が流れるのだが終わり近くで争いが起こり、民が各々の飛空艇で脱出して地に降りる。という画で終了する。
つまりラピュタは民に見捨てられて滅んだのだ。
察するに王家の男たちが女王に叛旗を翻し、内乱が起こったので地上降下後に女王は正統な証だけを持って逃げ、山に隠れ住んでいたのだろう。
この強大な力を男たちに渡したらろくなことにはならない、と。
実際ムスカは最終兵器試し打ちしてますしね。
結論・生き物とは
「国が滅びたのに、王だけ生きているなんて滑稽だわ…(中略)土から離れては人は生きられないのよ!」
とムスカの銃口に怯まず叫ぶシータのこの言葉は非の打ち所の無い名ゼリフである。
生き物の本質、自然と共に生まれ死ぬさだめから外れてはいけない。人間だって木、鳥、獣、微生物と同じ膨大な命の中の
それを…衛星飛ばしまくって宇宙軍を作るだなんて言ってる裸の王様たちなんてお笑い草だわ!
あんたたちなんか顔を青く塗ってデスラー総統の住むはるか遠くの惑星ガミラスにでも流されてしまえばいいのよ!
と言っちまいたくなる位、現代社会の人間たちは生き物の本質から外れまくっている。
ゴンドアの谷の歌にあるように
土に根を下ろし、風と共に生きよう種と共に冬を越え、鳥と共に春を歌おう。
という生き物本来の暮らしと穏やかな心に立ち返れないものだろうか?
今は「黙れ!」と銃口を向けられるような世だけれど。
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