感想書くマンがアナタの作品お読みします ~導かれし者達~

及川シノン

男、再び

挨拶代わりの茶番

2016年 3月3日


「サイトオープンおめでとうございます! 何読んで良いか分からない自分のためでもあります♪」


「僕にだって限界はある」


「心が壊れ始める音」


「がああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」



第一弾『必ず感想書くマンがアナタの作品お読みします』




2016年 3月18日


「歓喜と狂気の延長戦」


「企画の内容自体は問題ありませんが、レビューの使い方に問題があり……」

「企画はまだ終わっちゃいねぇってんだよ!!」


「何で読書しているだけで幻聴が聞こえてくるんだ……?」


「コメント機能が実装されたら、やり方を改善して復活します☆」

「もう既に実装されたぞ」

「え?」



第二弾『ゼッタイ感想書くマンがアナタの作品お読みします』




2016年 4月29日


「投稿しても一人も読んでくれない? 『一人』はここにいるんだよなぁ」


「初手で25万文字作品をリクエストしてくるとは」


「この二次創作小説の原作を読んだことなかったので、原作小説を全部読んでから感想書きに来ても良いですか?」


「半年間、お疲れ様でしたああああああああああああああ!!!!!」



第三弾『帰ってきた感想書くマンがアナタの作品お読みします』




そして……。






2017年、3月――。



      『肉体の限界』


主治医「全身の筋肉の痙攣……。長い間、作品砲弾文字爆風の嵐にさらされ過ぎたんだわ」



      『絶える休息』


オペレーター「短編作品、全て読み終わりました! もう長編しか残っていません!!」


ぼく「!!?」



     『圧倒的物量差』


敵機空母「50万文字作品、投下シマス」



      『泥沼の戦い』


隊長「読んでも読んでも企画が終わんねぇ!! どうなってやがる!!」



      『渦巻く陰謀』


黒幕「今度は鼻血や嘔吐では済まさない。次は血反吐を吐いてもらおう」



        『咆哮』


ぼく「何が小説投稿サイトだよ! こんなん、ただの戦場じゃねぇか!!」



       『孤立無援』


新入り「アンタ、自分が運営から鼻で笑われてる存在だって、ちゃんと認識してんのか!?」



      『それでも退かず』


闇商人「今ならアンタも荷台に乗せて、なろうやアルファポリス辺りにまで連れて行っても良い。ここもじきに地獄になる」


ぼく「俺は……ここに残るよ」



       『何のために?』


参謀「もうやめましょうよこんな事。顔と名前とアカウントを変えて、またゼロからやり直せば良いじゃないですか。感想書くマンは死んだことにするんです。逃げたって、誰もあなたを責めはしない」


ぼく「……まだ死んでねぇから感想書いてんだろうがよ」



       『誰のために?』


CV大塚明夫「……誰もお前の話なんて真に受けていない。平和で、自由で、平等で……。投稿した全ての作品が熟読され、一つの物語も埋もれることのない小説サイト……。そんな非現実的な、おとぎ話みたいな場所を作ることができると、お前は本気で思っているのか?」


ぼく「……運営に要望を送れば、何かが改善されるのかもしれない。サイトの現状を批判して、それがたくさんの人からの賛同を得られれば、流れは変わるのかもしれない。

……でも、俺は……俺一人くらいは、違うやり方をしても良いんじゃないかなって、そう……思うんだ。

別に、誰にも真似できない魔法みたいなことをやろうってんじゃない。一人の利用者として許されていることを、このサイトのユーザーとしてできる範囲のことを、出来る限りやりたいだけなんだ……」




     『ただ、それだけの企画』





少女「……お兄さん、こんな所で何してるの? 血まみれで、穴だらけになって……。もう誰もいないのに、もう何も残ってないのに……。そんなになってまで、何をしようとしていたの……?」




     『たった、それだけの……』





ぼく「……『読書』……」











この物語は、「読んでくれ」と言われた作品全てに感想を書こうとした、一人の男の記録である。

ただそれだけの、どうしようもないまでの――『実話ノンフィクション』である。



カクヨム一周年(勝手に)記念企画


『感想書くマンがアナタの作品お読みします ~導かれし者達~』


依頼受付、開始。

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