3-4:マモリ1

マモリはアトリエからすぐに家には帰らず、公園に行った。どうして公園に行ったのかはわからない。ただ、なんとなく直感が、公園に行けと伝えてきたような気がした。


空は薄曇り、もうじき雨が降るだろうか。マモリは傘を持っていなかったが、そんなことはどうでも良くなっていた。気になったのは、公園のモノたちだ。いつもと雰囲気が違う。


一見すると、それはいつもの公園だ。だが、本当にそうだろうか?よく見ると、遊具が不自然に新しく見えたり、不自然に古く見えたりする。マモリはそれに触るが、その感触に違和感はない。だが、離れてみると、何かが違う。いや、違うはずがない?思考が混乱する。


我に返るために公園の時計を見る。その後に自分の腕時計。時刻はあっている。いや、時刻だけはあっている?時刻以外はどうだ?マモリは珍しく、極めて冷静にあたりを見渡した。


違和感の正体はなんだ?ポケットを探るが、ビー玉はあと1つしかない。魔法をウツ損じればどうなるか。黒に染められる?漂白?死?


肌寒いくらいの気温なのに汗が吹き出る。確実に嫌な予感はする。だが、その正体がつかめない。ここはすでに魔法使いの罠なのか?あるいは、ただ自分がそう思い込んでいるだけ?


はやく、ここから逃げなければ。


マモリの思考はそこに落ち着いた。何がおかしいのかわからない。だけど、確実に何かがおかしい。この感覚を、マモリは過去に体験したことがある。だが、その時は、違和感の原因を突き止めることができた。


しかし、今はそうではない。原因がわからない。そして、魔力も残り少ない。マモリはもはや、逃げることだけを考えていた。


一目散に出口に向かって走る。そして、出口にたどり着いた時、雨が降っていた。


「雨……」


マモリは突然の雨に驚く。さっきまでは、まだ雨が振りそうにはなかった。まだしばらくは大丈夫そうだった。春の雨はポツポツと降り始める。だが、この雨はいきなり降ってきた。


「この公園……」


マモリは気がついた。公園の時計と、自分の腕時計を見比べる。時が、ずれている。


その公園の時は、止まっていた。

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