2-4:ミライ1

新学期早々から、ミライはリッカを家に送り届けることになった。リッカが狙われていることには変わりないからだし、幸いなことに家の方向も近かった。


二人は下校路を一緒に歩く。

「なんか、ごめんなさい」

「え?」

「だって、私のせいでこんなことに……」

ライチは首をブンブンと横に振った。


「いやいやいやいや!そんなことないよ!僕だって魔法使いなんだし、やるべきことはやらなきゃ!」

「でも、約束はまだ思い出せないんでしょう?」

「うっ……」


ミライは、過去にリッカと出会っていたことは思い出せていた。でも、その時に交わした約束が何だったのかは、まだ思い出せていない。

「……ごめん」

「あ!いや、その、いいの!昔のことだから、ね」

リッカは誤魔化そうとするが、その落胆の色はミライにもわかった。


「あのさ、その、こういうのももしかしたら失礼なのかもしれないけど、僕が忘れた約束って、なんだったのかな?」

「えっ!?」

その問いに、リッカは戸惑った。


「あー……えーっと……それは……」

なんとか誤魔化そうとするリッカ。

「言えないんだね」

「……!」


ミライの答えに、リッカは絶句する。

「やっぱりそうなんだね。呪いとか、そういうの、魔法使いになったばっかりだからよくわからないけど、でも、そういうことなんでしょ……?」

ミライは強く答えてリッカを見る。


リッカは、無言で静かに頷いた。

「そうか……よし!それじゃあ、今日は目一杯楽しもうよ!」

「え?」


「だって、今考えても仕方なんだし、リッカだってこの町に戻ってきたばっかりなんだから、いろいろ紹介するよ」

「で、でも……」


「大丈夫だよ。困ったときにはマモリとライチさんがなんとかしてくれるって!さあ、行こう!」

「う、うん……!」



……その日は結局、魔法的な問題はなんにも起こらず、平穏な放課後を過ごし、二人は別れた。まるで、嵐の前の静けさのような不穏を残して。

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