1-2:マモリO

小森 守(コモリ マモリ)は、代々続く魔法使いの一族だ。もちろん、それは秘密だし、話したところで信じてもらえるわけがない。相手が同じ魔法使いなら話は別だが。

ミライが夢を見たのと同じ夜、マモリは自室のベッドの上でごろごろとくつろいでいた。


「あー、4月から3年生か。大学受験、うーん。どうしよっかな~」

ぼんやりと将来のことを考えるマモリ。その時、窓の外に黒い魔法の気配を感じた。

「この気配!」

マモリの目つきが変わる。窓を開け、外を見る。そこには小さな黒いモヤが1つ。


「やっぱり黒魔法!一体誰が?」

モヤはマモリの気配に気がついたのか、襲い掛かってくる!

「ええい!迷ってる暇なんか無い!行け!”火炎『解放』”」

マモリは赤いビー玉を取り出してモヤに投げつけ、呪文を唱える!

ビー玉は弾けて炎となり、黒いモヤを包む。赤魔法の1つ、『解放』の魔法だ。


「オオォ……」

黒いモヤはその一撃で力を失った。そんなに強くはない魔法だったようだ。

「リッカ……ドコダ……」

黒いモヤは小さな悲鳴と言葉を残し姿を消す。

「リッカ?ふーむ……」


マモリはしばし考える。リッカ、聞いたことのない名前だ。人か、物か、あるいは他の、形のない何かか。ともかく、黒魔法は消したはずだ。問題はないだろう。

「いいや、寝よう!」

マモリは考えるのが苦手だった。なので深く考えずに寝た。


……翌日、この判断がとんでもない過ちだったことを、マモリは知ることになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る