オレはこっち!

みやびというか雅

第1話







「おい、柚!」




1回起こしただけでは起きな幼なじみに声を荒らげる。

声を荒らげたところで無駄なことは知っているがそれが日課になっているというかそうしないと1日が始まらないというか……




「おい!柚!起きろって!遅刻するぞ!」


「うーん…」




今日から新学期。何が何でも遅刻するわけにはいかない。

一音一音に怒りを込めて大声を出したところで気持ちよさそうに寝ている幼なじみには敵わない。



気持ちよさそうに寝ている所悪いのだがそろそろ起きてくれないと幼なじみどころか俺まで遅刻してしまう。

布団を思いっきり剥ぐとまだ4月の気温は冷えるのか幼なじみは不機嫌そうに目を覚ました。



「ゆーず!遅刻!」


「……うーん。」


「置いてくよ?」


「待ってよぉ…」



重い瞼を擦りながら部屋着を脱いでいく幼なじみに目をそらしながら文句を言ってやる。



「俺は柚の親じゃないし、いつまで経ってもこんなんじゃ大人になった時どうするんだよ…」


「いいもん。そうしたら涼のせいだから」


「おい」



毎日同じような会話をして足早に家を出る。



俺がいつまでも柚の隣にいられるとは限らないんだから…



俺より1歩先に歩く柚の後ろ姿を見ながら切なく思うのだった……

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