涼宮ハルヒの夢再現

結崎ミリ

ハルヒセリフ~原作通り~

「ちょいと小耳に挟んだんだけどな」


「どうせロクでもないことをでしょ」


「付き合う男全部振ったって本当か?」


「何であんたにそんなこと言わなくちゃいけないのよ」


 肩にかかる黒髪をハラリと払い、ハルヒは真っ黒な瞳で俺を睨み付けた。まったく、無表情でいないときは怒った顔ばっかりだな。


「出どころは谷口?高校に来てまであのアホと同じクラスなんて、ひょっとしたらストーカーかしら、あいつ」


「それはない」と思う。


「何を聞いたか知らないけど、まあいいわ、多分全部本当だから」


「一人くらいまともに付き合おうとか思う奴がいなかったのか」


「全然ダメ」


 どうやらこいつの口癖は「全然」のようだ。


「どいつもこいつもアホらしいほどまともな奴だったわ。日曜日に駅前に待ち合わせ、行く場所は判で押したみたいに映画館か遊園地かスポーツ観戦、ファストフードで昼ご飯食べて、うろうろしてお茶飲んで、じゃぁまた明日ね、ってそれしかないの?」


それのどこが悪いのだと思ったが、口に出すのはやめておいた。ハルヒがダメだと言うからにはそれはすべからずダメなのだろうな。


「あと告白がほとんど電話だったのは何なの、あれ。そういう大事なことは面と向かって言いなさいよ!」


 虫でも見るような目つきを前にして重大な――少なくとも本人にとっては――打ち明けごとをする気になれなかっただろう男の気分をトレースしながら一応俺は同意しておいた。


「まあ、そうかな、俺ならどっかに呼び出して言うかな」


「そんなことはどうでもいいのよ!」

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