俺の下僕(メイド)のはずのあいつと立場が逆になっている
ヤナギ
第1話 なぜか大金持ちに、なぜかおかしなやつと
ここで一つ、俺のステータスについて話そう。
名前 橘雄大
性別 男
誕生日 6月3日
年齢 15歳
職業 高校生1年生
どこにでもいる高校生だ。
年齢については疑問に思うやつもいると思うが、今は4月だ。そこはほかっておこう。だが、一つ訂正しなければいけないかもしれない。大金持ちになった。それだけだ。父の友人がなぜか資産を譲り渡してきた。詳しくは言えないが。もう何が何だかわからん。おかげで父は豪邸を建て、メイドを雇い、自分では何もしなくなった。全くだらしない。父は俺にもメイドをつけやがった。何をしてくれるんだ、名前も知らない大富豪の人。
「あの〜心の中で語ってるところ悪いんですが、そろそろ学校行かないと授業初日から遅刻しますよ〜」
…この制服着たやつは小日向ひまり俺のメイド(仮)だ。こいつには容姿は美しいが、ある欠点がある。
「お〜。じゃあ俺の鞄準備しといてくれ。」
「それって登校のとき、私の鞄持ってくれるってことですかー?」
「はぁー。(なんでこいつはこうもメイドらしくないかなぁ。)」
「今何考えてるか、当ててあげましょうか?」
ゔっ。目が笑ってない。あいつのこと今度から下僕と思ったほうが良いかもしれない。これでわかったかもしれんが、こいつはとてつもなく性格が悪い。
「もう先行きますね。」
ぶちっ。俺の中で何かが切れた。
「あんのやろぉぉぉーー!」
静かな朝に俺の声が響いた。
っと、こんなことでキレていては夜には身体的にも精神的にも死ぬ。
「さて、そろそろ行きますか。」
今から全力疾走してあいつにドロップキックかましてやろうかと思ったが、あいつは柔道6段だ。結果、身体的に死ぬ。それにある理由で公衆の前でやれば、社会的に死ぬ。やめておこう。でも、とりあえず走りあいつに追いつく。
「おはよー。ひまりさん。」
「うん、おはよう。」
チィッ。甘い声しやがって。なんつう八方美人だ。…いや、こいつに顔八面もないな。俺に対してと、それ以外に対してだ。さっき言ったある理由ってのがこれだ。あの態度は俺に対してだけで表では成績優秀者、文武両道だと思われている。ひまりに挨拶したやつは隣にいる俺になんか目もくれず先に行ってしまった。どうせ俺はぼっちですよーだ。普通ひまりみたいなやつと一緒にいればチヤホヤされるのがラブコメの常識だろ?ひまりがこちらに振り向いた。俺以外に見せる笑顔のまま振り向いたので少しドキッとした。
「どうしたんですか?息切らして向かってきたので、変態が来たと思いましたよ。」
「相変わらず饒舌なことで。あいにく俺は運動得意な方じゃないもんでね。」
「そういうあなたは、冴えてないわね。それに少し顔が赤いわよ。」
そ、そ、そ、そ、そんなことねぇぞ!
「くっ、もっと修行が必要か。なんなら俺の左腕の封印を解いても良いぞ。フハハハ‼︎」
「厨二っぽく演じていないで、早く行きますよ。」
「へいへい。」
誤魔化してはみたが嬉しいことにスルーしてくれた。1日はまだ始まったばかりだ。
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