2.5次元のキルコード

@kanoe155

第1話 死後の誕生日

1ヶ月前、市の病院に表情を無くした少年が入院した。その少年の名は三村大輝と言い、突如意識を失い病院へと担ぎこまれ緊急入院することになった。

医者が少年の顔を見て思ったことは、生きようとする顔ではなくその逆、死のうとしているのだ。 


少年の姉が医師に問う─


「先生、大輝はどうなったんですか!このまま目を覚まさないんですか!」

医師も困ったものだ、原因がはっきりせず、突如意識を失い、治療する術ももはや見つからなかった。


 少年の姉から話を聞くと、少年は学校から帰ってくる度に死にそうな顔をして帰ってきたらしい。  

医師の推測は過剰な精神的ストレスにより虚無に陥ったと推測した。

 

今現在は意識を取り戻し入院しているが、治るすべはなさそうだ。


検診の時間がくる─

  

「三村さん、具合はどうですか、入院して少しは心を取り戻せましたか?」

 

「先生、俺は生きてて意味あるんですか、ここにいてもいいですか?」

「何を言ってるんですか、私は貴方が治るまで諦めませんよ。」

 

「無駄だよ先生、俺なんか居なくなったって変わらない。」

 

三村は極度の鬱状態で耐えれなくなり自殺を試みようと何度も考えていた。


その日の夜─      


「俺は生きていたってしょうがない、今日こそ死ななきゃ。。」

 

ここは4階の密室の部屋、窓から飛び降りることが可能だ。

それと大輝が入院したときに隠し持っていた物がある。

それは紐だこれで首を吊ることをいつも考えてきたが、なかなか一歩が踏み出せなかった。


 「夜風が気持いいな、俺の気持ちを更に鬱にさせてくれる。」

大輝はベットから出てふらっとドアの前まで歩き、手に持っている紐をドアノブへ巻き付けた。

 

「このまま、首にかけて、体重をかければ死ぬんだな、やっとこれで終わりにできる。」

 

大輝は紐に首にかけ全体重をかけた。

全身が痺れる感覚が大輝を襲う、意識を失う寸前、大輝の目に走馬灯が浮かぶ。

 

生まれた時から、現在までの記憶が物凄い速さで走る。

大輝は死を確信し目を閉じた。



「おい、お前こんなとこで寝てたら風邪ひくぞ、さっさと起きろっての」

少女らしき声が聞こえる、ここは天国なのか地獄なのか大輝は考える。

 

「お前、もう一回死にたいのか?」

その言葉で大輝は飛び起きた。

辺りを見渡すと、どこまでも続いてるような草原、空も青空が広がっている。

 

「ここは天国なのか?俺は死んだのか?」

「違う、ここは天国なんかじゃない、ルシフェルト王国の魂の大草原さ。」

「そっか、これは夢だ。さぁ寝よ─」

「違うって言ってんでしょ!」

 

少女は大輝の横腹に蹴りをいれた。

痛みも感じる、どうやらここは天国でも地獄でもないようだ、言うならば異次元へ大輝は来てしまったようだ。

しかし、異次元にこようと鬱は変わらない、ここでも鬱生活がまっているはずだった。

 

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