モブの普通の生活

サムサラ

プロローグ:普通のボブ、モブの願望

普通、モブにとってあまりにも正しい言い方、正しい生き方。

彼も一つのモブとして、普通になりたい。


放課後、夕日が教室の中に差し込む。さっきまで聞こえる部活の騒ぎも鳥の歌とセミの鳴り声に変った。

一人の少年が席に座っている。

残りの人はもう多くない、二組にに分けて話し合っていて、少年にとってどうでもいい。

関心のは自分のみ、いまは自分に迫ってくる不運の準備をする、心の準備を。

でも、今日のはなかなかこないで、少年の心の中で歓喜の気持ちと絡み合う心情がせめぎあって、どうしても行動をとれない。

時間の経つにつれ、少年の中が一縷の希望が与えられた。

「今日、運がいいかも」

何にもしてないのに、何にも訪れていないのに。少年は喜びを感じた、これがいいと。

こんな希望を壊すのが、少年がランドセルを背負ったばかりのことだった。

ドアが誰かに乱暴に開かされ、続いて見知った三人が入ってくる、少年を見るなり、控えめで低い声で少年に声をかける。

「ちょっとこっちこい」

少年もあまり焦っておらず、おもむろにランドセルを下すと、三人について教室を後にした。

向かう先は少年もよく知っている、毎日通っているから。ついていなくても一人で行けるが、一人でどうしてそんなとこ行くだろう。

場所は校舎裏、芝生に敷かれて、樹々に囲まれて、しめじめしいところ。

三人が止まったを見て、少年もまた足を止めた。

「さぁ、金だせぇ」

その三人の中に、一際逞しいに見えるひとが少年に言った。ほかの二人はその後ろに控えて、口元にかすかに笑みを浮かべて。

けど、少年からは返答がない。逞しいのがそれで苛立つを覚え、少年に近づき、彼の胸倉をつかみ上げ、身長の差と力の差で、少年は半空に浮かべ、喉からの苦しいさを咳払い。

「なにぃ、さっさと金だせぇ、こっちも忙しいよ、てめぇ」

「金……もってない……」

やっとの一言がそんなこと、逞しいのはもっと力を込めで、少年の胸倉をつかむ。

もう少しで許してくれるだろう、少年はそう考えて、一時の苦しみを耐え続ける。

でも、ことの流れは今回ばかりは違っている。

「甲子を放せぇぇぇ」

後ろから人の声が聞こえる、こんな事以前は予想したことはあるが、今に至って不可能と思うのに。

「てめぇ誰よ、じゃますんのか」

逞しいのが少年をつかむまま叫ぶ、憤怒が原因か、耳が裂くほど声が高い。ほかの二人も威喝の姿勢を構える。

「俺か、俺様は川崎政宗、まぁ、そんなのどうでもいい、俺様がここにいる理由はただ一つ、お前たちを打ちのめす」

逞しいの人の額に青筋が出て、少年を地面に投げ捨てて、政宗を睨んでいる。

少年は地面に伏せて頭を後ろに向き、そこに立つ人は自分とあんまり差はない、見た目は弱気の男の子。でも、不思議なことに、こんな人たちと対面しているのにまったく怖気を見せていない。

けど、見知りでもないのに、どうして僕の名前を……

少年の考えも見通すのように、政宗は言った。

「当たり前だろう。お前の端役家族、誰が知らないというの。アニメ、漫画、ドラマ、ゲーム、小説などどこでも出てくる人物。お前ら端役はいつも主役と程遠い位置にいる、自分を演じる。甲子もただ、コードみたいなものに過ぎない、端役の名前、誰が気にするものか」

少年は地面に伏せたまま、目頭は熱いと感じた。これは事実、事実だから痛い、痛いほどわかる、わかっても、認めたくないこと。

「なにぐつぐつ言っている、こっちに構う暇もないはずなのに世」

少年をよそに、逞しいのが怒りに駆け出し、政宗を目掛けでパンチを繰り出す、が……

「くぁ」

まともな一言も出せず、彼が地面に倒した。何が起きたと周囲をみる。

「こっちこっち、おめぇ弱いね、見た目は強いが、まさか一パンチで終わりとか」

政宗は口元に笑みを浮かべ、逞しいのをあざ笑うように彼を見下ろす。

つ、強い!

「て、てめぇ、覚えろうよ」

ほかの二人がそれを見て、慌ててふためく逃げ込む。逞しいのを連れ出すのも忘れて。

事件解決と感じたが、政宗は少年を見つめる。

「今回はありがとうな、お前がいなきゃ俺様がこんなかっこいいことできやしねぇ。まぁ、これも俺様の一ページに過ぎない。アニメ、ドラマ、漫画なら一つの絵で、ラノベ、ゲームなら一桁で書くことだ。大したことはないけど」

少年が何を言い出せないのを見て、政宗は校舎裏から去っていく。

「さよなら」

政宗がさったあと、少年はもう一度政宗が言ったことを思い返す。

ーー当たり前だろう。お前の端役家族、誰が知らないというの。アニメ、漫画、ドラマ、ゲーム、小説などどこでも出てくる人物。お前ら端役はいつも主役と程遠い位置にいる、自分を演じる。甲子もただ、コードみたいなものに過ぎない、端役の名前、誰が気にするものか

端役、たしかに彼の言う通り、覆すのない運命。ずっと心の隅に隠しているものが掘り返され、少年はただただ地面を見るしかない。

突然、少年が頭をあげ。

「僕も、普通になりたいよ、普通の主人公に」

そのまま闇に沈んでいく。


僕は、端役、誰も知っているのに、誰も覚えてくれない。

じゃあ、僕はどうして生きるのだろう。

「おい、おい、大丈夫?」

意識の波の中に、誰かの声が聞こえる。

目を開くと、一人の教師が僕を揺さぶる。

上体を起こすなり、周りを見回る、あの逞しいのまた昏倒のようで。再び川崎さんの強さに驚く。

「キミ、キミ、どうしたの、どうしてここで、大丈夫」

隣の先生が心配の目で覗き込んでくる。

痛いとこはないと確認した後、僕は胸倉のとこを整理して、立ち上がる。

「大丈夫です、先生、僕はすぐ帰ります」

先生はまだ心配のようだが、何も言わない。僕が後にしたのを見て、またその逞しいの人を起こす。

太陽も完全に沈んでいる、暗闇に包まれた校舎は少し不気味に感じる、僕は自分の教室に戻る。

けど、教室の明かりはまだついている、こんな時間誰かがいるだろう。

ドアを開く、一人の少女が座っている、僕が入るたことを気づいたか、手に持った本をランドセルにしまう。

「まだ帰らないの?」

「いいえ、今帰るつもり」

心に沁みる声。彼女の名は鈴木ムロイン。黒色のショットヘアが肩まで切りそろえられ、風に揺らめく。青い丸い瞳、明かりより輝く、まっすぐこっちを見る。唇のかすかな動きもかわいいらしい。神かかる容姿を有している。テレビで見たアイドルも彼女の美貌に敵わない。こんな美人がこのクラスにいるだけでも、一緒の幸せだろう。

今こそ鈴木さんと話す機会、二度とこないだって可能のに、逃すわけにはいかない。鈴木さんがランドセルを持ち上げて教室に後をした、僕も慌ててランドセルを背負って彼女の後に追う。

ここは僕のかっこいいとこを見せるので、まず僕が話し出す。

「何の本を見ているですか」

鈴木さんは少し沈黙した後、

「別に、大した本じゃない」

これだと進まねぇ。鈴木さんはあまり話さないのは知るが、これじゃなんの進展も持たない。

僕が苦悩している中、意外に彼女のほうから話した。

「さっきどうしてそんなに遅く帰ってくるの?」

「……」

いきなりかっこ悪いとこをつけてくるとか、まさかさっきのこえが聞こえられたか、恥ずかしい、ここはまず誤魔化していこう。

「先生に用事で呼ばれて、ちょっと時間をかかっただけです」

「そうか、さっき外で何の声が聞いた、あなたじゃないね」

「え、えぇ」

本当に聞かれるとは、僕どんだけ大きなこえだよ。

彼女は顔を伏せて、なんだか切り出すのもつらくなったので。

そういえば、こんな美少女、誰のヒロインでしょう。あの主人公に羨ましい。

僕たちは何にも言わないまま静かな道を通り過ぎる。

駅までたどり着くと、僕たちは別れだ。

鈴木が駅に向かう姿を見て、なんかそれ以外のことが感じられる。

僕と彼女の距離はどんどん離れていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る