記憶改竄的現世界物語

@samo_samo

第1章:狂気

プロローグ

つまらない...

退屈という言葉は世の中に対して失礼かも知れない。

でも退屈だ。


僕は大罪人だ、愚かで醜い殺人犯だ。

でも、罪の意識から逃げるこの人生も....退屈だ。




「おはよー勝治」


日常とは常に同じもので、変動しない退屈なものだと僕は思っている。

言語や微妙な行動の変化こそあるが、日常とくくってしまえばどれも同じだ。


これもそう、いつものあいさつ。なんの変哲もない普通の【日常】


「あぁ、おはよう」


友人。仲がいいと言うわけではないが、僕が選んだ【友人】。

彼の目が曇り、何か重要な急用を思い出した様に僕の事を見た。


「あ、今日歯科検診な、昼休憩の途中だから鬼畜だよな~」


「了解、ありがとな」


これが僕の能力。彼には一昨日の時点で今日が歯科検診だという事を僕に教えると言う命令を、彼の記憶に書き込んでおいた。


そう僕の能力..【記憶を改竄する能力】


人に危害を加える能力と言われれば否定はしない。でもちょっと記憶の一部を借りてるだけさ、なんの問題もないだろ?


そしてこれもまた僕の【日常】の一部。


僕は、確かに他の人には持ってない【特殊能力】いわゆる【異能力】を持っている。

でも持っているからこそ退屈なんだ。




生きてる今が、僕にとっての罪滅ぼし用の牢獄だから。


生きてる今が、殺人を犯した僕用の牢獄だから。

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