第24話
『はぁぁぁぁっ!!』
飛来する雑木と交差するように放ったライデンの蹴りが
「グゥゥ!」
ライデンの蹴りとルイザの一撃に挟まれて
『ライデン、モヒート様は!?』
『やられてはいないようだけど、姿は見えないわ!』
ルイザとライデンは転倒した
魔族は人よりも遥かに優れた身体能力を持っているが、それでも生物としての理から著しく逸脱しているわけではない。身体的構造からくる急所は存在し、巨躯を動かすためには骨と筋肉が必要だ。
ライデンの電撃とルイザの打撃により、
だが、身体能力が負傷により著しく低下していても、
「ニンゲン如キガ……調子ニノルナァァ!!」
そして、その激情が溢れ出るのも時間の問題でしかなかった。
『どうやら本番開始のようね~ン』
『ライデン、取り込まれないように注意して』
二人とも黒い
人を
これが魔族の戦闘形態である――
「サァ――パァァティィィタァイムダ!!」
ルイザはその一撃を後方へ滑空するように回避し、同時に翼の意匠が施された円盾を産み出して構えた。
その直後に生まれたのは、雑木林を軒並み押し倒すほどの衝撃波だった。
『く――っ!』
『ルイザ、もっと下がりなさい!』
その一撃を、ライデンは更に空高く舞い上がって躱していた。藤紫色の鎧は全身に紫電を走らせ、ライデンの体が自然落下以上の加速を産み出して急降下する。
『“
雷鳴轟かせながら急降下するライデンが
「ブヘェ――ッ!」
「逃ガサァァーン!」
全身から緑色の体液を吹き出し、
『は、速いッ!』
「フンッ!!」
技術も狙いもない、暴威のみを纏った剛腕の一撃がライデンの腹部を捉え、華奢な鎧越しからも聞こえる骨を粉砕する音と共に殴り飛ばした。
『きゃぁぁぁ!』
「エ~クティ~~ッス! コレデ一匹目ダァ!」
緑の大舌が引き裂かれているため、
「ナ、ナンダコレハ――?」
『清浄なるマナの監獄――“
「ナゼダッ! ナゼ破壊デキン!!」
『それは、あなたが魔族だからです。“
ゆっくりと
『――
そう言って投擲した一撃は光の壁を突き押し、
「グアァァァ!」
雑木の破片が突き刺さったとは思えないほどの絶叫を上げ、
しかし、ここまでの戦闘で大量の体液とマナを失っていた
そして闇色に染まる雑木林に響き渡るのは、
「クックック……アーハッハァー! やるじゃねぇかルイザ、最高のお膳立てだ!」
その声は、今まで姿を隠していたモヒートの嗤い声だった。
『モヒート様、ご無事でしたか!』
ルイザの声色が僅かに高くなり、周囲を見渡してモヒートの姿を探すが見当たらない。
代わりに雑木林の上空から舞い降りたのは四体の空飛ぶ鋼。それらが持つ雰囲気がモヒートの防衛用多脚ドローン“キャンサー”と酷似していることから、ルイザはこれら四体の鋼はモヒートが産み出した何物かであることを直ぐに察した。
『こ、これは一体……』
『きっとモヒート様です』
ルイザと違い、ライデンは舞い降りた空飛ぶ鋼に言い知れぬ恐怖を感じていた。
「ナ、ナンダコレハァ?!」
「こいつは無人強襲型ドローン“キラービット”って言うんだが……まぁ、これからハチの巣にされるお前には言ってもしょうがないな」
そう言いながら雑木林の上から飛び降りてきたのは、しばしの間姿を隠していたモヒートだ。
「ニンゲン! コノ
「その通り、お前のためにわざわざ急造して武装も整えたんだ。お陰で腹減ってしょうがねぇぜ」
素肌をむき出しにしている自分のお腹を擦りながら、モヒートは
『モヒート様!』
『モヒート!』
「おう、ルイザ。それに紫のはライデンか? さっさとコイツを始末して、飯の食いなおしをするぞ」
モヒートはもう
ルイザへと近づいて行きながら、パチンッと指を鳴らすと――旋回していたキラービットの単眼カメラが赤く光り、球状の胴体から腕の様に突き出る二門のミサイルランチャーから小型ミサイル群が射出され、胴体下部から伸びる刺針のようなビームガンがエネルギー弾の発砲を開始した。
「ギャァァァァァ!!」
絶叫と砲声が混じり合う中、モヒートは悠然とルイザの正面へと立ち、「ご苦労さん」とその肩に手を置いた。
その背後で、一筋の光線になるほどに押しつぶされた
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