第6話 三浦さんの過去

仕事が一段落付き、午後3時頃、俺は喫煙室に向かっていった。最近の俺のルーティーンである。



煙草くさっ。



喫煙室のドアをあけて、空気清浄機付きのテーブルの前に立つ。火を着けようと煙草を加えた所で、後ろから話し掛けられた。



「早坂。」



振り向くと、三浦さんだった。また鼓動が速くなるのを感じる。


三浦さんは俺の隣に立った。


うっ、近い。



「お前も一服かー、この時間多いな?」



「あ、丁度得意先が一区切りしていい時間なんですよね。」



「そういえば慰安旅行きますか?」



「どーすっかなぉ、行かないと上が煩いしなぉ」


となんて事ない話をしていた。



すると



「そういえば、3課の木村、辞めるんだって。実家の家業継ぐんだってさ。」


「!?ーそうなんですか。」



俺はあの日木村さんをからかう女子社員を揶揄した三浦さんを思い出していた。




この人は、三浦さんはまた、俺の欲しい答えをくれるかもしれない。俺は恐る恐る口を開いた。



「あの…どうしてあの時、木村さんの事、女子社員から庇ったんですか?」



「ああ、そんな事あったっけ。何でもないよ。学生時代、ゲイの友達がいてさ。本当いい奴だったんだけど、そいつの気持ちに答えられなくて、だから、その罪滅ぼし?俺の勝手な自己満なのよ。」



そうだったのか。



イメージしてた、聖人君子、三浦さんとは違ったけど、その友達との関係をおざなりじゃなく、ちゃんと向き合ったから、当時悩んだからら、出てしまう行動なんじゃないかなと勝手に推測した。



やっぱり俺は、この人が好きだ。



思わず見とれてしまっていたのだろう、三浦さんにどーした?ぼーっとしてと突っ込まれてしまった。



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